2025年05月16日 1871号

【学術会議解体法案 衆院採決を強行/国会前「人間の鎖」に延べ1130人/科学研究を戦争に動員するな】

 日本学術会議を政府がコントロールする機関に作り変える法案の採決が5月9日衆院内閣委員会で、13日同本会議で強行された。

 「日本学術会議『特殊法人化』法案に反対する学者・市民の会」が呼びかけた国会前ヒューマンチェーンには7日400人、8日400人、9日200人、13日130人が結集。「知」を軍事研究に組み込む動きに強い危機感を表明した。

 法政大学元総長の田中優子さんは「学術会議は日本国憲法とともにある。軍拡や武器輸出をどう考えるのか。単なる学者たちの問題ではなく、国民全体の問題だ」と強調。ジャーナリストの金平茂紀さんは「米国政府はハーバード大学当局に『気に入らない学生を処分しろ。処分しなければ助成金を支給しない』と脅している。その先鞭をつけたのが、学術会議会員候補6人の任命を拒否した菅政権だ」と怒りをぶつける。

 「自然科学者に総額100億円の防衛省予算がニンジンとしてぶらさげられた時、学術会議は『二度と戦争のための学問はしない』と声明を出した。だからこそ、学術会議に対する弾圧が強まっている」と指摘するのは、青山学院大学名誉教授の羽場久美子さん。千葉大学教授の栗田禎子(よしこ)さんは「戦前の滝川事件・天皇機関説事件などの学問の自由侵害は、滝川幸辰教授や美濃部達吉名誉教授個人への弾圧から始まった。今回は、政府からの独立が保障された学術会議という枠組みを上からぐしゃっと潰してしまうもの。戦前の事件より数百倍、大規模で深刻だ」と警鐘を鳴らした。

 内閣委審議では国民民主党なども最終的に反対に回り、採決は賛成21人反対18人の僅差となった。参院で必ず廃案に追い込もう。



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