2025年05月30日 1872号
【なかまユニオンが韓国連帯訪問/ユン大統領弾劾の女性・市民らのパワーに触れる】
|
4月26日から4日間、なかまユニオンの若手執行委員ら4人が韓国ソウルを連帯訪問。ユン大統領を罷免させた闘いなどと交流した。報告を寄せてもらった。
労働者の権利守り抜く/希望連帯本部と交流
4月26〜29日、韓国ソウルで、民主労組希望連帯本部・貧困支援団体・女性権利擁護団体との交流を行いました。また、韓国独立運動の義士、安重根(アンジュングン)記念館も訪問しました。
希望連帯本部との交流では「地域合同労組という形態の労組が日本でなぜできるのか」という質問が印象に残りました。日本では企業内に組合員が1名以上いれば労働組合が結成でき団体交渉権も得られますが、韓国はそうではありません。一人でも労組を結成し団体交渉できることは当たり前ではないと改めて認識しました。自公政権による労働法制規制の緩和が続く中、この貴重な権利を守り抜く必要性を強く感じました。
ホームレス・貧困問題を支援しているボランティア団体との交流では、貧困層の方が住んでいる街や小さなマンションを見て回りました。マンションの部屋は1坪程度の広さであり布団を敷くと物の置き場がなくなります。トイレ・シャワー・洗濯機等は共用で設備が古く汚れている状態でした。韓国の生活保護は病気・障害がない限り65歳以上しか受給できないことに驚きました。そのため一度貧困状態になると生活が立て直せず、長期間ホームレスや狭い部屋での生活が続いてしまいます。韓国の福祉施策には構造的な問題があることを学びました。
女性権利擁護団体から戒厳令宣布時、国会前に一般の市民も大勢集まっていたことが印象的でした。国民一人ひとりが政治を自分事として捉えることは日本では難しいと感じます。当事者意識をいかに多くの方々に持ってもらうかを私自身も試行錯誤して考えていきたいと思います。
(執行委員 増永悠希)


韓国女性団体連合と弾劾デモ/運動は少女時代とペンライトに
韓国女性団体連合は、1987年に活動を始め、現在は7つの地方支部があり、29のメンバーシップ団体が参加しています。女性お二人(7月の2025ZENKOに参加)に話をうかがいました。
今回の大統領弾劾デモに多くの20〜30代女性が参加した理由について、前段階に「Me Too運動」と尹錫悦(ユンソンニョル)大統領の女性差別政策がありました。「Me
Too」とは「私も告発する」意味で、性暴力の被害経験を共有しサバイバーたちに「あなたは一人ではなく私たちはともに連帯すべき」を意味する言葉。女性への性暴力や性差別に対する社会運動の掛け声でもあります。
2016年5月、ソウルの繁華街である江南(カンナム)駅近くで、女性トイレに押し入ってきた見知らぬ男性に「女性だから」との理由で若い女性が殺害された事件が発生。事件の動機は「女性に見下されていたから」という理不尽極まりないもので、それまで抑圧された女性たちの思いが一気に噴き出す引き金になりました。
ユン氏は、2022年の大統領選でジェンダー平等の推進を担う女性家族省の廃止を公約に掲げ、政権に就いてから女性政策を後退させてきました。男尊女卑が強く残る韓国で、右派男性を支持し男女の分断を煽ったのですから、女性たちの怒りが戒厳令のデモで頂点に達したと感じました。
そうした背景を受け、女性たちがデモに結集したのだそうです。運動家だけでなく、一般市民の女性たちが集結したと聞き、私もすごく驚きました。女性の持つパワーは本来、すごく強いものだと感じました。
「私たちみんなの広場です」―弾劾デモの運営方法で画期的だったのが《平等な集会のためのみんなの約束》が作られ、100人の運営代表の間で共有、厳守されたこと。朴槿恵(パククネ)元大統領の弾劾の時と違ったのは、前回は声が大きい人たちが音頭を取っただけでしたが、今回は市民や女性団体にも焦点が当てられたという点です。性別・性自認・障害・年齢・国籍に関係なく、すべての参加者が平等、という観点から作られました。女性を性的対象とせず、問題が起きたときは、当事者意識を持って対応し、みんなが嫌な思いをしない広場が作られました。
今日の韓国社会運動は、火炎瓶からロウソクに、ロウソクからペンライトに、民主化と女性差別撤廃を実感させる凄い事件だったのだと、感心いたしました。
(書記次長 高橋麻理)
 |
|