2025年06月20日 1875号

【未来への責任/日韓条約60年と植民地主義を問う】

 第二次世界大戦の敗戦国として占領下におかれたドイツは、当時のソ連邦とアメリカの冷戦体制により東西に分割されたが、1989年11月9日のベルリンの壁崩壊により分断は解消した。ところが同じ敗戦国日本の場合は、日本国内の分断ではなく、植民地支配から解放された朝鮮半島が日本に代わって南北に分断され現在に至っている。

 今年は戦後80年であるとともに、1965年の朝鮮半島の南側・韓国との国交回復、日韓条約締結から60年という節目の年にもあたる。

 しかし、北側の朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)とは今なお国交回復の目途も立っていない。日本はこの朝鮮半島の分断をもたらした責任を果たさないばかりか、日本軍「慰安婦」問題、強制動員問題など過去の侵略戦争と植民地支配下で行った数えきれない人権侵害に対する謝罪と補償も不十分なままである。国内においては、日本政府は朝鮮学校だけを高校無償化から排除する国家による民族差別を続けている。残念なことに、一方では排外主義政策を容認するといった日本社会があることも現実である。

 その表れの一つに、韓国大統領選挙をめぐって、日本のマスコミは押しなべて「前政権で回復した日韓関係の改善は新大統領李在明(イジェミョン)氏の対日姿勢にかかっている」などと、あたかも日韓関係悪化の責任が韓国にあるかのように報道する姿勢がある。ここで抜け落ちているのは、そもそも日韓関係を「悪化」させた根本原因が日本が過去の植民地支配の責任を認めてこなかった点にあることだ。

 日韓条約の締結交渉では最後まで1910年から36年間に及ぶ植民地支配が合法であったと居直り、3億ドルの経済援助も「賠償」ではなく「独立祝い金」であると強弁した。この日本政府の態度は今も変わらない。

 6月20日〜21日、「歴史正義と平和な韓日関係のための共同行動(韓日歴史正義平和行動)」のメンバーが来日する。日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯、民主労総、進歩連帯など600余の韓国の市民団体で2022年8月に朝鮮半島と東アジアの恒久平和を目指して結成された「共同行動」だ。

 6月20日は、日本の市民団体と共同で強制動員企業(日本製鉄・三菱重工)への抗議要請行動、日本軍「慰安婦」問題解決を求める対日本政府交渉に取り組む。そして条約の締結日にあわせて6月21日に開催される「日韓条約60年と植民地主義を問う―私たちがつながり直すために―」に参加して韓国での取り組みを報告する。

 敗戦からは80年、条約締結からも60年、継続する日本の植民地主義を克服する闘いの大きな節目として、今回の日韓市民の共同行動を成功させたいと切に願う。

◆日韓共同行動/6月20日(金) 11:45三菱重工本社前スタート

◆6・21集会/14時〜 明治大学リバティタワー3階1032
(日本製鉄元徴用工裁判を支援する会 中田光信)
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