2025年06月20日 1875号 
            【みるよむ(736)/2025年5月17日配信/バグダッド市民の不当逮捕と暴行死に対する抗議の声】
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             2025年4月、バグダッドで、警察に暴力を振るわれ負傷し逮捕された技師が拘置所の中でも暴行を受けて死亡した。事件に対して、市民が怒りと抗議の声を上げている。サナテレビが報道した。 
             
 バシル・ハリドさんは技師だ。4月7日早朝、バグダッドのアヤド集合住宅に入ろうとした時、イラク連邦警察が拒否し、警察幹部と口論となる中でハリドさんは不当にも逮捕された。 
             
             不当逮捕は問題の発端にすぎなかった。ハリドさんは、連行されたハティン警察署で、他の被拘禁者たちの争いの中でひどい暴行を受けた。共和国病院に移送されたが、負傷が原因となって亡くなった。ハリドさんは虐待され、全身をひどく殴打され、ついに死に至らしめられたのだ。 
             
             ハリドさんが所属していたイラク技術者組合が声明を出している。「拷問によるバシル・ハリド技師の死は、一過性の事件ではなく、イラク市民の尊厳に対するあからさまな攻撃であり、文明社会がその上に築かれている人間的価値に対する重大な侵害である」 
             
             スダーニ首相は調査委員会の設置を指示し、国連イラク支援団(UNAMI)もこの事件に深い憂慮を表明した。しかし、「このような調査委員会が具体的な結果につながるのは稀である」というのがイラクの人権状況だ。同じような人権侵害、虐待が警察や拘禁施設で頻発している。 
            緊急に必要な人権保護
             レポーターは「バシル・ハリド技師の死は、イラクの治安・司法制度における改革と拘禁施設における人権を保護することが緊急に必要であることを示している」と指摘する。 
             
             頻発する不当逮捕、拷問、暴行事件にイラク市民は怒りの声を上げている。サナテレビは、そうした姿を通して、人権を侵害する政府と社会の仕組みを変革しようと訴えている。 
             
            (イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋) 
             
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