2025年06月20日 1875号

【東電旧経営陣の責任否定 賠償取り消し/株主代表訴訟 東京高裁が逆転不当判決/「福島の人たちに申し訳ない」「原発重大事故の再発を許す」】

 東京高裁は6月6日、福島原発事故を引き起こした東京電力旧経営陣の責任を否定し、約13兆円の賠償を元役員4人に命じた一審判決を取り消す逆転不当判決を言い渡した。

 判決直後、裁判所前で原告代表の木村結さんがマイクをとり、「福島の人たちに申し訳ない。原発を止めようと闘う全国の人びとにすばらしい判決を届けることができなかった」と沈痛な面持ちで語る。

 判決要旨朗読の最後に木納敏和裁判長が「今後、原子力事業者が負う責任は事故前と同様のものであってはならない」と述べたことに対し、木村さんは「ならばなぜ、ならばなぜ、あの過酷事故を起こした取締役誰一人責任がなかった―そんな判決が書けたのか。信じられないし、許せない」と怒りに声を震わせた。

 河合弘之弁護団長は「判決は『大津波襲来の危険性に切迫感や現実感はなかった』と言うが、根本的に誤りだ。地震や津波が切迫感を持って予測されたことがあるか。『明日来る』『ひと月以内に来る』と警告されなければ対策をとる必要がない、などということはあり得ない。きょうの判決は原発重大事故の再発を許す判決だ」と断じた。

 原告は上告し、闘いの舞台は最高裁に移る。「国に責任なし」の不当判決から2年、6月15〜16日の「6・17最高裁共同行動2025」の意義はますます高まっている。

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