2025年06月27日 1876号

【ドクター/日本小児科学会に要望書/ガザ停戦へ広がる支持・反響】

 パレスチナ・ガザでは、イスラエルによる次世代をになう子どもを狙っての虐殺が公然と行われています。死亡者5万5千人以上のうち子どもは1万6千人を超えます。外傷だけでなく、感染症や封鎖による栄養障害も多数の死や障害をもたらします。それらを軽減する最後の砦が医療ですが、病院や医療従事者が標的にされ、すでに昨年末までに36病院中19病院が閉鎖、他も一部しか機能せず、医療従事者千人以上が死亡し、この攻撃は今年は一層ひどくなっています。これは、ガザ住民の命の最後の砦まで無くし、ジェノサイドを遂行しようとするものです。

 この状況に対し、昨年国際小児科学会はガザに関する声明を出し、各国の小児科学会が自らの政府にガザでの即時かつ持続的停戦を直ちに要求しよう、と呼びかけました。しかし日本小児科学会(以下、日児学会)も含めて日本の学会には動きがありませんでした。

 昨年4月の日児学会総会に向け、仲間が呼びかけて11人で、ガザでの即時・持続的停戦を求めること、国際小児科学会のガザに関する声明を全会員に周知することを柱にした要望書を提出し、同総会で要望書の「討議資料」を配布・発言し、学会長もガザの現状には大変憂慮しているとの思いを語りました。この要請行動は共同通信が全国に配信しました。

 今年の日児学会総会(4/19)へは、賛同人を広げ同学会の元理事なども含めて23名が要望書に賛同されました。賛同者の多くは、薬害・劣化ウラン弾・インフルエンザ・福島原発事故・コロナなど各問題を、共に取り組んできた方々です。昨年の内容に加え、拘留されたガザの病院長で小児科医の解放、ガザへの人道支援と安全で健康な未来を確保、などを提唱するように、総会で要請しました。

 学会長の回答は「(この問題は)人道的見地からも憂慮すべきことだ」「今回のご指摘を踏まえまして…学会としてどのような活動ができるか、慎重かつ迅速に検討する」と一歩踏み込んだものでした。

 先の「討議資料」を全国の医療施設の指導的立場にある約250名の総会代議員の大多数に会場前で配布しました。今年も受け取りを断る人はほぼなく、「ありがとう」の声もありました。当初、会員からの反発も危惧していましたので、大変うれしく思っています。

  (筆者は小児科医)
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