2025年07月04日 1877号

【みるよむ(738)/2025年6月7日配信/政府の農業政策に抗議するイラクの農民デモ】

 イラクの南東部で、農民のデモが頻発している。政府の農業政策によって農業が破壊されているからだ。2025年4月、サナテレビが報道した。

 番組は、イラクの南東部で多数の農民が政府の農業政策に抗議する農民のデモや抗議行動を映し出す。

 現在のイラクでは、合理的な農業を進めるはずのシステムが機能していない。イラク農業省が策定した年次農業計画は「農民の農業活動を支援するのではなく、むしろ制限するための道具になっている」と農民は見なしている。この計画では、生産割当以上の生産を上げてもその農産物を買ってもらえないのだ。

 南部ムサンナ州の農民は「農業省に、公式の農業計画以外で栽培された作物の買い取りを要求する」と書いた横断幕を掲げている。

 政府のずさんな農政のために、農地に農業用水がきちんと配分されず「水不足による農業用地の減少」という事態が生まれている。「種子、肥料、農薬への補助金」などの農業支援策が不足している。また、「規制のない輸入品」が入ってくることでイラク産農産物の競争が深刻化しているという問題もある。

政府の失政で農業破壊

 中部ディワニヤ州の農民は「農民は、政府の失敗した政策に押しつぶされている」という横断幕を掲げ、怒りの声を上げている。

 サナテレビは、「農業計画の再評価、州間の公平な水配分の確保、灌漑(かんがい)インフラの改善、必要不可欠な農業資材の提供、農民に利益を保証する適正価格での農作物の販売」という農民の要求をあげている。

 いま日本でも、政府の長年の農業つぶし政策で農民の生活は苦しく米不足・価格高騰問題が起きている。

 イラク農民は、グローバル資本の利益優先で農業政策に必要な資金を出さない政府に怒りの声を上げている。日本からも連帯したい。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)

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