2025年07月25日 1880号

【仮放免者に「退去強制令書」相次ぐ/強まる排外主義/「毎日が怖く、不安だ」/反貧困ネットワーク記者会見】

 出入国在留管理庁が「国民の安全・安心のための不法滞在者ゼロプラン」を公表(5/23)して以降、標的とされた「不法滞在者」=在留資格のない外国籍者のもとに相次いで「退去強制令書」が届いている。生活困窮者を支援する反貧困ネットワークは7月10日、国会内で記者会見を開き、強制送還の圧力にさらされた当事者自らが発言した。

 スリランカ国籍のSさんは「難民申請中に仕事をしたら、入管職員に逮捕された。働くことがなぜ罰せられるのか。『ビザは出さない。(母国に)帰れ』と言われ、夜も寝られない。みなさんは、頭だけでなく心でも、外国人のことを考えてほしい」と訴える。

私たちは犯罪者ではない

 同じくスリランカ国籍のNさん。「1990年代は『不法滞在者』が一番多かった時期だが、今のようなことはなかった。裏金やお米、物価高など政府の悪いことを隠すために、外国人を問題に出してきたのではないか」と見る。「政治家が海外での日本のイメージをだめにしている。日本人が世界どこでも安心・安全に行ける道をつくるのが政治家の仕事ではないか」

 アフリカのある国から来日したAさんは声を詰まらせつつ、「難民申請が棄却され、ビザがなくなった。国民健康保険もなくなり、子どもの通院・手術ができない。監理措置で働けることになったが、国保には入れない。私たちは普通の家族。犯罪者ではない。みんなと同じように働いて子どもたちを育てたい」と話した。仮放免者の帰国強制についても「重い病気があり治療を受けなければならない子が『親の国に帰れ』と言われても、そんなことはできない。親に在留資格がないから子どもまで権利を奪われてしまうのは、大変な不正義だ」と批判する。

 紛争が続くアフリカの国の出身、JCさん。「来日して24年、仕事はできなかったが自由で平和だった。でも難民と認められず、入管はいつでも私を強制送還できる。強制送還されたら私の未来はない。今、毎日怖く、不安だ」と語る。

差別で票 最も卑劣だ

 会見には、3年前に始まった「難民・移民フェス」の発案者で、ライターの金井真紀さんが「差別はダサい」のプラカードを掲げて同席。「私たちの友達を、票を取るためにデタラメなことを言って」。しばらく絶句し、「差別を票を取る手段に使う。最も卑劣なことだ。隣にいる人たちと一緒に生きていける国にしたい」と言葉を繋いだ。

 反貧困ネットワークの瀬戸大作事務局長は「参政党Q&Aに『発達障害など存在しません』とある。いろんな苦しみを持つ人たちのことを『普通の教育を受けたらそんな苦しみはない』と街頭でしゃべっている。行き着く先はナチスだ。本当に怖い。あらゆる場で排外主義と徹底的に対抗しよう」と呼びかけた。
MDSホームページに戻る   週刊MDSトップに戻る
Copyright Weekly MDS