2025年07月25日 1880号

【みるよむ(739)2025年6月14日配信:軍隊と癒着するイラクの私立大学】

 イラクの私立大学の卒業式にイラク軍が参加し示威行進を行った。この情景は、大学を経営する資本が政治家と癒着し軍隊と密接な関係を作っていることを露骨に示した。2025年5月、サナテレビが報道した。

 映像は、イラクの都市の大通りをイラク軍衛兵隊と軍楽隊が行進している姿を映し出す。しかし、これは軍隊の行事でも、イラク政府の行事でもない。私立のアル・ドゥラース大学卒業式の光景なのだ。軍隊と一般大学教育に何の関係があるというのだろうか?

 レポーターは「民間学術イベントに公式な軍事部隊が参加することは、大学の所有者の権力と影響力を強調するための意図的な力の示威である」と批判する。「来年は、学年の始業式に黄金師団の戦車が参加する」のではないか、と問いかける。「黄金師団」とは、軍の対テロ特殊部隊である。

 国家予算で成り立つ軍隊を私立大学を経営する資本家が当然のように利用している構図には怒りがわく。

 イラクの教育は、国立学校も私立の学校も予算が抑え込まれ、教育サービスは低下し続けている。その中で、「一部の大学が学術機関から私的利益のフロント組織へと変質し、軍事を含むあらゆる手段を駆使して権力と支配を誇示するために投資している」。そうした状況が明確になっているとレポーターは解説する。

日本も同じ軍事研究推進

 日本でも、日本学術会議解体を狙う新法案強行に見られるように、大学と軍事資本を結び付け軍事研究をさせる動きが進んでいる。グローバル資本による大学教育の支配という点で、同じ課題に直面していると言えるだろう。

 イラクでも、公教育だけでなく医療も福祉も切り捨てられている。一方で軍事力は増強されている。そうした中で大学と軍隊の癒着に反対するイラク市民の闘いに連帯しよう。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)

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