2025年08月01日 1881号

【みるよむ(740)/2025年6月21日配信/女性に対するハラスメントを許さない】

 イラクでは近年、女性への深刻なハラスメント事件が起こっている。ところが政府も警察もそれを放置している。5月、サナテレビがこの問題を取り上げた。

 レポーターは「女性に対するハラスメントが白昼堂々、カメラの前で、時には治安部隊の監視の下で、大規模に行われている」と報告する。

 たとえば、アミューズメントパークで若い男性グループが2人の少女を取り囲んで服を引き裂きハラスメントに及ぶ蛮行を働いた。治安部隊が介入した時には1人の被害者が意識を失っていたという。

 別のケースでは17歳の少女がカメラの前で若者のグループからハラスメントを受けた。後に16人も逮捕された。被害者は精神的打撃が大きく、警察に被害の申し立てさえできなかった。被害者女性にとってどんなにひどいことかと胸が痛む。

 ところがイラクでは、「ハラスメントの真の予防政策も、執行される有効な法律も存在しない」のである。女性の人権を守るべき公的機関は、こうした犯罪に無関心・無力であるばかりか、「傍観者」に成り下がっているという。

 女性に対するハラスメントが「不適切な服装をしていた」「なぜ一人で外に出ていたのか」と、正当化すらされている。

ハラスメントは犯罪だ

 このような中で、何千人、何万人もの被害者が沈黙させられ、「公共の生活からの撤退に追い込まれている」のだ。サナテレビは「ハラスメントは単なる逸脱行為ではなく、犯罪行為として扱われるべき」と主張する。

 こうした状況は、日本にも欧米にも共通する普遍的な問題といえる。

 サナテレビは、ハラスメントの正当化を許さず、そして、市民を守り安全を保障するべき機関や司法機関がハラスメント根絶のために徹底した行動をとらなければならないと訴えている。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)

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