2025年08月15日 1883号
【2025ZENKO交流会/尹錫悦を打倒した女性・若者たち/報告 ヤンイ・ヒョンギョンさん(韓国女性団体連合共同代表)】
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昨年12月3日、尹錫悦(ユンソンニョル)大統領(当時)が突如「非常戒厳」を宣言した。幸い、市民と野党国会議員の素早い行動により、戒厳令は約2時間で解除された。
翌4日、市民たちは「尹錫悦の違法な戒厳令を非難し、内乱罪での退陣を求め、国民主権の実現を目指す全国民抵抗運動」を宣言。以降、大統領が罷免されるまで、集会やデモを連日のように行った(124日間67回)。こうした闘いをリードしたのが、総計1739団体が参加した「尹錫悦即時退陣・社会大改革緊急行動」である。
市民たちは「広場」を越えてつながった。オンラインとオフラインと合わせて約150万人の市民とつながり、各種署名運動や公開討論会などを行った。ソウルでは200人を超える市民が参加した「社会大改革大討論会」が3月9日に開催され、社会変革に向けた市民の熱望をまとめた。全国各地域でも同様の取り組みが行われた。
民主主義実践の場
尹錫悦政権はアンチフェミニズムを政治的資産として利用してきた。女性家族部の廃止を推進し、性暴力予防事業の予算を減らした。また、女性労働者が現場で直面する苦悩を相談する民間の雇用平等相談室の予算を全額カットした。
この性差別主義者の弾劾広場に最も早く最も多く集まったのは20代30代の女性市民だ。彼女たちは大切な民主主義を守るために、自分が最も大切にしている物(アイドル応援棒=ペンライト)を手に集まった。
彼女らは10代の頃にセウォル号沈没事件、20代の頃に梨泰院圧死事故を経験した世代である。また、MeToo運動の広がりなど、女性差別と暴力に対して積極的に声を上げてきた。
弾劾集会が始まった当初は、女性やマイノリティに対して差別的な言動を参加者が思わず口にすることもあった。これを受け、女性連合は「平等集会約束文」を作成し、集会が始まる前に司会者が読み上げることにした。その結果、差別や憎悪の言葉は次第に広場から消えていった。
広場はたんなる抵抗の空間を超え、女性たちが民主主義を再構築する実践の場となった。今回の広場では、従来の政治が軽視してきた「平等、ケア、連帯」が主要な政治的価値を定着させた。女性たちが新しい民主主義を創造し、自らの手で築き上げたのである。特に、「マルボル同志」「ナムテリョン」(注)という言葉に表れたアイデンティティの政治は新たな民主主義の可能性を開いた。
包括的差別禁止法を
広場に集まった市民は、弾劾後の私たちが望む社会について多くの議論を交わした。最も望まれたのは「誰もが差別を受けず、尊厳を持って生きる社会」であった。そのためには包括的な差別禁止法の制定が必要だとの声が多く聞かれた。
民主主義の基盤は、平等、平和、人権である。これを基盤とした民主共和国の実現には、市民の力の強化が不可欠である。
(注)マルボルとはスズメバチのこと。ハチが仲間を守るように、連帯が必要な現場に馳せ参じる若い女性たちのことを指す。ナムテリョンはソウル特別市南端の地名だが、ここで農民と若者の連帯行動が行われたことから、新たな連帯のあり方を象徴する言葉として使われるようになった。
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