2025年08月15日 1883号
【あきらめない! つながり、声を上げ、不安定労働の撤廃へ 2025ZENKO労働分科会】
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2025ZENKO労働運動分科会では、首都圏なかまユニオン伴幸生委員長の基調提案を受け、(1)グローバル資本による雇用破壊とどう闘うか(2)労働法制無視の職場支配、人権侵害と闘う(3)地域・職場に労働組合を―のテーマで、会場・オンラインを結び議論した。
非正規春闘 派遣争議も
まず、雇用破壊との闘い。なかまユニオンからは▽大きな社会的注目を集めた1人の組合員による2024年なか卯布施店の賃上げ要求ストライキ▽関西の10ユニオンでつくる非正規春闘実行委員会の10%の賃上げをめざす非正規春闘方針に基づき、2025年賃上げ要求を提出した職場分会が昨年の倍の8職場になったこと―が報告された。
なかまユニオンの井手窪啓一委員長は「労働相談のほとんどは問題解決型。首になったなどの問題を解決するために来る。そこから職場に定着して労働条件を改善していく取り組みが弱かった」として非正規春闘を取り組む意義を語った。
首都圏なかまユニオン南部支部から、派遣期間の中途解除や期間短縮にあった事例が当事者の組合員とともに2件報告された。
契約不更新の通知に苦情申出をしたことで派遣期間中の「待機」扱いから中途解除=解雇されたT組合員。派遣先KPMGと派遣元アコーディスを相手取り都労働委員会で和解協議中だ。「派遣先で1年と1か月仕事をしていて成績は5段階中の4、感謝のメールもいただいたので、『雇用安定措置はどうなっていますか』と聞いたところ、派遣会社からは『もうあなたに仕事は紹介しないが、それでも雇用安定措置を粘るのか』と言われた。全く対処してくれず、派遣先の管理部署に相談に行っても、たらい回し。在宅で仕事をしていたがオンライン接続を禁止され、唯一の連絡手段のチャットで派遣先も雇用安定について考えてほしいと書くと、会社の全体チャットに悪口を書き込むかもしれないからという推測で派遣会社ごと派遣先に切られた」と怒りを語った。
職場から闘い 変える
人権侵害との闘いでは、組合嫌悪で事業所つぶしをはかる放課後デイサービス、クリークの事件が報告された。再審査を申し立てている中労委闘争への支援表明が会場から上がった。また、昨年の分科会で支援を呼びかけられていたUPT・協成争議は納得できる水準での解決報告があった。
3つ目のテーマは、職場に労働組合を、だ。
かつて8年にわたる裁判で未払い残業代3億円を払わせた首都圏なかまユニオン・全国際自動車労働組合。執行委員の一人が「従業員7千人のうちの1%の組合だが、タクシー運転手の入社が増える中、若い組合員の加盟が続き秋の大会で50名だったのが25名ほど増えた。乗客のクレジットカードが通らず後払いになった料金が未払いの場合、給料から天引きだったのを会社負担にするなど、最近の団体交渉でも成果が上がる。次の職場を探している人はぜひ国際自動車に入って一緒に組合活動をしましょう」と力強く呼びかけた。
国会で取り上げられたアウトドア用品メーカー、パタゴニアの雇い止め訴訟和解報告など共闘関係のユニオンの報告も続き、時間いっぱいまで、労働法が守られていない職場をどう変えるか、と議論は止まらない。
分科会は▽今すぐ全国一律最低賃金1500円以上に/生存権を保障する最賃制度を実現しよう▽2026年非正規春闘で、物価高に負けない実質賃上げを勝ち取ろう―などの決議を確認して終了した。

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