2025年08月15日 1883号
【ZENKO 介護分科会/訪問介護報酬 直ちに引き上げを/厚労省に署名2万9712筆を提出】
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7月27日、2025ZENKOの介護分科会では、抜本的な改革以外に出口のない、現代介護業界の苦境が話し合われた。
3月31日の厚生労働省発表によれば、約6割の訪問介護事業所が24年8月期において前年同月比で減収。厚労省は訪問回数の減少自体が減収の大きな要因と分析するが、24年度からの訪問介護報酬引き下げの影響は明らかだ。さらに東京商工リサーチによると、24年に倒産・休業などをした老人福祉・介護事業所は784件で過去最多。そのうち倒産は179件あり、「売り上げ不振」を要因とする回答は133件だった。25年は昨年を上回るペースで倒産件数が増加している。
介護従事者の減少も深刻な問題となってきている。参加者のFさん(60代女性)は東京で訪問介護員として働く。時間給1850円だが移動時間は賃金が発生せず、一件の移動につき50円の手当だけがつくこと、賞与や退職金がないことを嘆く。実質サービス残業として毎回10〜15分の延長も多く、やりがいは感じているが収入への不満は大きい。
介護と並行して医療費の抑制の動きも強まっている。自民党・公明党・日本維新の会が人口減などを理由に新地域医療構想で27年4月までに11万床の病床削減の方針を決めたが、大阪の小児科医林さんは「コロナ禍のような感染症拡大に対応できなくなる可能性が当然ある。11万という数字にも根拠がない」と指摘する。
25日の厚労省交渉の報告もあった。訪問介護報酬引き下げ撤回などを求める署名、オンライン2万9234筆、紙署名478筆、合計2万9712筆を提出。厚労省は焼け石に水の処遇改善手当で「努力している」と言い張り、実態として賃金が他業種と大きく差がついている現状に向き合おうとしない。交渉に参加した東京に住む田中さんは「介護改革は待ったなし」という危機感を厚労省が共有できていないことを訴えた。
現場から要求 アンケートも
大阪の訪問入浴介護の現場で働く佐藤さんは、夏を前に空調服などの防暑対策導入を会社に認めさせた。兵庫のデイサービスセンター代表の畑さんや「平和と民主主義をともにつくる会・大阪」の深江さんは、介護の実態について独自のアンケート活動と自治体への要請に取り組む。
積極的な改善活動を行っている参加者たちは、「27年度の改訂を待たずに訪問介護報酬引き下げを撤回し、直ちに引き上げさせよう」「小規模介護事業所への財政支援を国・自治体に早急に行わせよう」などの決議を採択した。

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