2025年09月05日 1885号
【みるよむ(742)/2025年7月12日配信/全身を覆うアバーヤが女子学生の制服に】
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イラクのバグダッド州議会は、ザイナビーヤ・アバーヤを女子学生の公式の制服とする決定を行った。イスラム政治勢力による支配が、女性の服装に対しても強められている。2025年6月、サナテレビがこの問題を取り上げた。
サナテレビのレポーターはザイナビーヤ・アバーヤについて説明する。これはイスラム教シーア派のヴェールだ。頭部から全身を黒い布で覆い、女性の姿は目の部分しか見えない。男子学生が欧米や日本などと変わらない服装をしているのに、女性だけがみなこのヴェールを着ている光景はいかにも異様だ。
サナテレビは、大学などの教育機関でのザイナビーヤ・アバーヤの制服化の問題点を教育上の観点からも指摘しているが、政府は学校におけるこの服装強要に執着している。たとえば、「ザイナビーヤ・アバーヤ・プロジェクトの表彰式」を開き、200人以上の「アバーヤを着用した優秀な女子学生」の表彰までやっている。
イラクには、イスラム教のシーア派教徒もいればスンニ派教徒も、キリスト教徒も、ヤジディ教徒もいる。もちろん無神論者も。
頭髪を覆うヒジャブを着けていない女性はたくさんいる。ましてや真っ黒な布で全身を覆うザイナビーヤ・アバーヤを着る人が多いわけではない。
宗教支配で自由弾圧
このアバーヤ着用の強制は、シーア派勢力の力の誇示であり、思い通りに学生や市民を従わせようという意図が現れたものだ。彼らはグローバル資本と結託しながら、宗教による支配を強めることで人権や自由を求める市民を抑え込むことを狙っている。
サナテレビは、このような服装などを含む信教や思想の自由、基本的人権の尊重を徹底するために、社会の変革を訴えている。
(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)
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