2025年09月12日 1886号

【絶対に悲劇を繰り返さない/今を生きる私たちの責務/関東大震災102周年 朝鮮人犠牲者追悼式典】

 9月1日、東京・墨田区の横網町公園で「関東大震災102周年 朝鮮人犠牲者追悼式典」が催された。

 式典実行委員長の宮川泰彦さんは、開式のことばで「2008年の内閣府中央防災会議報告書は虐殺の背景として『日本は朝鮮植民地支配に対する抵抗運動に直面して恐怖感を抱いていた。無理解と民族的な差別意識もあった』と指摘している。植民地支配・民族差別はなくなっただろうか。在日外国人を治安・統治の対象とみる傾向はないだろうか」と問いかける。

 小池百合子都知事は今年も追悼文送付を拒否。浄土真宗本願寺派の僧侶・小山(おやま)弘泉さんは読経に先立って「政府・東京都が過去の過ちを反省し、差別・偏見をやめ、人間の尊厳を守ることを望む」と述べ、共産党の斉藤まりこ都議は追悼の辞で「都知事の姿勢は虐殺の被害者を貶(おとし)め、歴史修正と民族差別を助長する。参院選では外国人へのデマが振りまかれた。差別・排外主義を許さない姿勢を今こそ政治家が示さなければならない」と批判した。

 歌手の加藤登紀子さんが「どれほど馬鹿げた戦争、赦(ゆる)されないジェノサイドを繰り返し、隣人を踏みにじる苦しみを味わえば、違う未来へ踏み出せるのか」、小説家の深沢潮さんが「祖父は102年前、品川区で危うく自警団に殺されかけた。『アリラン』の歌をこよなく愛し、お酒を飲むたびに口ずさんでいた祖父。虐殺の歴史は語り継ぐことで初めて未来への教訓となる。忘却は再び同じ悲劇を生む土壌となる」とのメッセージを寄せた。

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