2025年09月19日 1887号

【「議会を変える」/大津市議中川てつや/20年間で初の本会議追及から災害関連死審査会設置を実現】

 大津市議会8月通常会議に、合議制の大津市災害弔慰金等支給審査委員会を設置するための条例改正案が提出されました。大変わかりづらいですが、「災害関連死審査会」を設置する条例のことです。

 昨年の8月議会で私が、質問として取り上げ設置を要求していたもので、1年越しでの実現となります。大変喜ばしいことで、大歓迎です。

 災害関連死は、避難生活の疲労やストレスなどが影響して亡くなり、災害が原因と認められた事例を指します。昨年の能登半島地震では、災害関連死は428人で、地震による直接死と合わせた死者656人の65%を災害関連死が占めています(9月3日現在)。ほかに250人余りの遺族から申請が出されていて、今後も増える可能性があります。2016年の熊本地震では、死者276人のうち8割が避難生活での災害関連死で、災害時の死者の大きな割合を占めるものになっています。

 政府は、19年に災害弔慰金支給法を改正し、自治体が条例で審査会の設置を定めることを努力義務としました。 

 この審査会で認定されると、直接死と同様、遺族に弔慰金が支給されることになります。しかし、未設置だと審査すら行うことができず、弔慰金も支給されません。全国の主要87市区を対象にした共同通信の調査(24年4月)では、大津など48%に当たる42市が審査会の設置を条例で規定せず、制定した市でも20市が委員選定などの準備がまだで、一定の備えがあるのは3割に満たないというものでした。

 大津市では、13年の台風時に全国で初めて「大雨特別警報」が出され甚大な被害を経験し、各地の地震のたびに災害対策の重要性が議会で質問され、市当局もその重要性を答弁してきました。しかし、市当局は、審査会については「判定が困難な事例がなかったため」設置してこなかったという認識の低さでした。また、議員からも災害関連死審査会の必要性について、議会本会議や委員会で取り上げられることはありませんでした。

 災害関連死審査会設置の問題を正面から取り上げ、実際の対応や審査会のメンバーの確保を含めて追及し、「(設置に向けて)検討を始める」と答弁を引き出したのは、少なくともこの20年間で私が初めての議員となりました。

 この議会での条例改正を機に、実効性のある審査会の設置と防災対策の強化へ引き続き取り組みを強めます。
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