2025年09月26日 1888号

【「議会を変える、市民と変える」/向日市議 杉谷伸夫/高校生から初めて議会請願】

 8月27日から開会した向日市議会に、初めて高校生からの請願がありました。「北陸新幹線の延伸の撒回を求める請願」です。向日市議会に対して、延伸反対の決議を行うことと、国に白紙撤回を求める要望書を提出することを求める内容です。

 9月5日の常任委員会で請願者本人が意見陳述し、質疑の後に採決。結果は賛成2、反対3で不採択だったのですが、私にとっても議会にとっても大きな経験になりました。

 「請願」とは、国や自治体などに対して、その仕事に関することについて要望することで、正式に文書で行われた請願は、「これを受理し誠実に処理しなければならない」と定められています。

 議会への請願は特別です。議員が「紹介議員」となって提出された請願は、必ず議会で審査されます。採択されれば「議会の意見」となるので、大きな力をもちます。

 さて請願の審査は、向日市議会では常任委員会の最初の午前10時からが原則になっています。高校生から授業を欠席しなくても陳述が可能なようにできないかと要望がありました。確かに授業を休まないとできないのでは、請願の壁を高くします。しかし請願者の都合で審査時間を変更したことはなかったので難航したのですが、喧々がくがくの議論の末、全議案終了後に長い休憩をはさんで高校生本人の陳述が実現しました。

 請願審査の委員会には、定員を超える傍聴者がかけつけ、抽選になりました。私は初めての経験でした。請願者は議会の場で緊張しながら、「莫大な費用を投入する北陸新幹線延伸は、人口減少社会に合わない」と、精一杯の訴えを述べてくれました。しかし反対した議員は、ひと言も反対理由を述べませんでした。必死の思いで請願した若者に対して、誠実な姿勢とはいえません。大変残念です。

 もう一つ残念だったのは、向日市議会では本人の意見陳述と質疑応答の部分はネット配信されず、議事録にも残りません。改善課題です。

 議会請願について、その高校生はこれまで全く知らなかったと言います。大半の人がそうでしょう。請願は誰でもできます。日本在住の外国人でも、中学生でも小学生でもできます。一人でもできます。これを機会に若い人たちの声が議会に届くようになればと思います。そして若い世代の声に、真剣に向き合う議会にしてゆきたいと思います。
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