2025年09月26日 1888号
【労基法解体を許さない/「労使自治」の名で労働組合を無力化/雇用共同アクションが記者会見】
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厚生労働省の労働政策審議会の分科会は今、労働基準法が定める労働時間規制などの最低基準の「調整・代替」=適用除外を可能とする仕組みづくりに向けた議論を進めている。
「雇用共同アクション」は9月12日、厚労省内で記者会見し、「労使自治の名のもと、法定基準を下回る働かせ方を広範に容認することは労基法の解体でしかなく、認められない」とする意見を8月末、厚労相と労政審委員らに提出したことを明らかにした。
意見の概要を説明した土井直樹事務局長は「政府・財界の狙いが実現すれば、長時間労働は使用者の都合で何時間でもOK、副業・兼業は当たり前、不安定・細切れの雇用ばかりに。うちの会社には労使自治がある、と広められたら、労働組合など要らないという雰囲気になる」と危惧する。
労使協定締結の主体となる「過半数代表者」選出の実態を、首都圏なかまユニオンの伴幸生委員長が暴露した。「サイネオス・ヘルス社では、会社側の候補者の信任投票をイントラ上でやっていた。誰がどう投票したか分かってしまう。不信任の場合は理由を記載して人事課にメールを送る。“あぶり出し”だ」。団交を通じて改善させたが、立候補した組合員に意見表明の機会を与えなかった。
同社はもう一人の組合員を懲戒処分、厳重注意したあげくロックアウト解雇。ところが、東京都労働委員会は「業務態度が改善される見込みがなかった。解雇には理由がある」とする不当命令を出した(8/7)。伴委員長は「こうなると、労働組合活動はできない。労使は対等な関係でないから労働法がある。その基準を下回っていいなら、労働者は奴隷でしかなくなる。労基法解体は労働組合そのものの解体につながる」と強い危機感を表明した。
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