2025年10月03日 1889号
【DSAニック(アメリカ民主主義的社会主義者)のアメリカレポート(13)/私の今まで そしてこれから/社会主義者として教員の道に】
|
今回は、私の近況とこれから歩む道について紹介します。なので、「レポート」というより「お便り」かと。
3年前、私は日本への長期帰国を終え、自分が生まれ父が育ったアメリカ北西部ワシントン州のスノホミッシュ郡に戻りました(生後数か月後に日本へ、高校卒業まで関西在住)。生まれた地で教員を目指すための新たなスタートを切り、地元の学校区で教員補佐として仕事を始めました。

特別支援教育に魅了され
アメリカの公立学校では、生徒は障害に応じた特別支援サービスを受けることが保証されています。対象となる生徒には、マンツーマンのスタッフによる支援を含む個別の教育計画が与えられます。少人数のグループで指導を受ける生徒もいれば、1日中サポートを必要とする生徒もいます。そうした生徒は、1日の大半を特別教室で過ごし、少人数グループまたはマンツーマンの指導を受けます。私はこの特別支援教室で、多様なニーズに対し、幅広いサポートを必要とする生徒と密接に関わってきました。
私が接してきた多くの生徒は、言葉を話すことが難しく、基本的なコミュニケーションのためにサポートが必要です。私たちは、iPad専用のプログラムなど、コミュニケーション支援機器の使い方や実践を支援しています。時には、感情のコントロールに苦しみ、自身や周りに危険な行動をしてしまうこともあります。理由は、環境の突然の変化や大きい音など感覚への影響、伝えたいことが伝えられない難しさなど様々です。
こうした生徒には、感情のコントロールのサポートも行います。トイレや食事など、基本的な身体的ニーズを満たすための支援を必要とする生徒も多いです。
仕事を始めてすぐ、特別支援教育の仕事に魅了され、教員免許を取得して教員になりたいと決意しました。
社会主義者としてこの仕事に惹かれるのは、地域社会で最も弱い立場にあり、疎外されている人びとに奉仕できる機会だからです。
仕事を通して、多くのことを学びました。支援体制の乏しい社会で障がいを持つ子どもを育てる家族が直面する困難。将来、生産的な労働者となる能力がないとみなされる生徒にほとんど資源を費やさず、隔離する学校制度の現実。予算削減や、この国に残るわずかな公共機関を解体しようとする極右の攻撃に抵抗する教員組合の苦難などです。
通学とDSA活動で悩む
教員免許取得のために、9月、ワシントン大学特別支援教育大学院に入学しました。今後2年間は昼間は教員補佐として働き、夜間は授業に出席する予定です。
人生の新たな章を始める準備をする中で、DSAでの現状の活動からは少し距離を置いてきました。これは、自分にとって難しい判断でした。この数年間、時間の多くをDSA支部の発展に費やしてきました。昨年3月に支部運営委員に選出されたことをきっかけに、組織への関わりは大きく深まり、11月大統領選後、支部の新会員の募集と受け入れの中心となりました。
数年間で、私たちは大きな成功を収めています。地元の住民投票選挙の勝利に貢献し、ここ数か月で支部会員数がかつてないほど増加、組織基盤強化にも成功しました。しかし、これはまだ始まりに過ぎません。大学院に通う間、第一線からかなり退くことを余儀なくされる事実を受け入れるのは、辛いことです。
独立した社会主義政党への発展は本来長期的であるにもかかわらず、すべてがあまりに緊急の課題のように感じられます。「大学院などに行っている場合か?」と不安に思ってしまう自分もいます。一方、疲れもたまっており、DSA活動からの休みを望んでいる自分もいます。メンバーの少ない小さな支部でとても多くの責任を担ってきたため、どうするか悩みいました。
しかし最終的には、教員になることも運動につながると信じています。教育制度や公立学校を規定する法律、そして障害のある子どもたちに提供されるサービスについて、より深く理解できるようになります。組合内で、より積極的に発言できるようになります。
前進する支部活動
この数か月、支部は新会員の募集や資金調達、来年の選挙準備に忙しく活動を続けてきました。
6月はLGBTプライド月間として、地元の二つの大きなイベントに参加し、街頭活動でパンフレット、バッジなどを配布。結果、約200人がネットニュースレターに登録し、多くの人に個別に連絡し、新会員向けイベントに誘いました。プライド月間の活動をきっかけに、DSAに多くの新メンバーが入りました。
小規模なプライドイベントでも、社会主義的な存在感を示しました。テーブルには、「富裕層への課税」「すべての人への医療」「パレスチナ解放」といった社会主義的なメッセージのポスター。さらに、LGBT解放に関する社会主義的な視点をまとめたパンフレットも配布し、特に若い世代の参加者に好評でした。
私たちの目標は、公開イベントに集まった人びとを月例の新会員説明会に導くこと。今も毎月、新規会員や潜在的な会員が集まり続けているのに驚いています。
8月には、支部全体でピクニックとバーベキューを開催し、60人以上が参加しました。会員、友人、家族が集まる交流イベントを開催することが目標でした。
ここ数年の経験から、特にDSAや社会主義についてあまり確信を持っていない人は、コミュニティとしてのつながりを感じた場合に初めて、組織に参加したり、より深く関わろうとすることがわかりました。私たちの組織は、新メンバーを歓迎する文化を創り、なかまとの関係を築く場を提供する必要があります。
これは、コミュニティや直接交流する機会をますます奪いつつある資本主義社会において、人びとが孤立感や孤独感を感じている中で、特に重要です。支部が、コミュニティ構築の場を目的意識的に創出していく必要があります。
社会主義運動築く決意
今後2年間は仕事と学業に追われることになりますが、新メンバー説明会の開催など、できる範囲でDSAの活動に協力していきたいと考えています。週刊MDSへの掲載頻度も減らさざるをえないと思います。卒業後は、私たちの運動・活動について引き続きお伝えしていきたいです。
それまでの間、懸命に努力を続け、社会主義運動を築き上げるという私の決意は薄れることなく、むしろ強まっていることを知っていただければうれしいです。
Solidarity forever! 永遠の連帯を。


 |
|