2025年10月03日 1889号

【靖国神社合祀取り消し第3次提訴/「親世代の闘いにけじめ」と韓国人遺族が決意】

 9月19日午後3時、東京地方裁判所の正門前にノー!ハプサ(NO!合祀〈ごうし〉)第3次訴訟原告団と支援者約30人が集まった。靖国神社への無断合祀取り消しを求める新たな闘いが始まる。

 原告は戦没者の孫にあたる6人の遺族だ。代表して陸軍軍人として戦死した朴憲泰(パクホンテ)さんの孫である朴善Y(パクソニョプ)さんが参加。日韓マスコミのテレビカメラが待ち構える中、朴善Yさん、太平洋戦争被害者補償推進協議会共同代表で第1次訴訟原告でもある李熙子(イヒジャ)さん、民族問題研究所対外協力チーム長の金英丸(キムヨンファン)さんを先頭に、「侵略神社靖国は合祀を撤回せよ!」の横断幕を掲げて、裁判所まで行進した。

 訴状を提出した後、弁護士とともに記者会見した朴善Yさんは「私がこの訴訟に臨むことになったのは、親世代の闘いにけじめをつけようという気持ちからだ。私の父の一生の願いは、祖父の遺骨を取り戻すことだった。父は亡くなる3年前に、祖父の遺骨を返還された。私は、父が亡くなった後に、祖父が靖国神社に合祀されていることを知った。父が祖父の遺骨を取り戻したことは、宿題の半分をやり遂げたことになると思うが、あと半分の課題が私には残っている」と裁判への強い決意を語った。

植民地支配責任を問う

 午前11時からは衆院第2議員会館で「『戦没者遺骨を家族の元へ』連絡会」ほかが主催する朝鮮半島出身者の遺骨返還に関する対政府交渉が行われ、原告団も参加した。厚生労働省から12人も参加するとあって踏み込んだ交渉が期待された。日本政府は日本人のDNA鑑定についてはめどがついたことを明らかにした。

 ところが、「韓国人遺族の鑑定参加を進めるのか」と問われると、「返還のあり方を外交交渉の中で解決する必要がある」と別の理由を持ち出し、応じない考えを示した。韓国の遺族からは「厚労省は遺骨返還の責任を感じているのか」と厳しい批判の声が上がった。

 頑なに植民地支配の責任に向き合わない日本政府の姿勢があらわになった。

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