2025年10月10日 1890号

【「月桃の花」歌舞団 新作ミュージカル「私はここだ!Hope is in ourselves」/戦争のない誰もが安心して暮らせる社会を/兵庫県西宮市】

 「月桃の花」歌舞団の新作ミュージカル『私はここだ!Hope is in ourselves』の地域公演の取り組みが全国で進んでいる。西宮公演実行委員会では、新たな展開が大きな広がりを創り出した。公演が生み出したものを実行委員や参加者の言葉などから見てみる。

公演を広げた取り組み

 西宮公演実行委員会は3回開かれ、歌舞団がシナリオを練り上げてきた議論を共有した。そして、生きづらさを超えて希望を発信するミュージカルとして、呼びかけていく意欲を高めた。

 8月23日の公開リハーサルでは、80年前の西宮空襲等の写真展も同時に開催。その取材記事が、神戸新聞と朝日新聞の2紙に掲載された。また、歌舞団の稽古場を取材した読売新聞も記事を掲載した。

 当日、▽「仕事を辞めたばかりだったので心に響いた」(学生時代にエイサーを踊っていた若者)▽「沖縄がとても恋しくて、エイサーが好きな娘に触れさせたいと思って参加した」(学生時代に名護でカヌー隊に参加していた母親)―など感想を寄せた参加者も。

若い人の活躍が希望

 「戦争を語り継ぐ会」の参加者からは、次のような感想が届いた。

 「ミュージカルは、本当に凄い内容だった。バイト漬けの学生生活、ブラックでどうしようもない職場、悲惨だったコロナ禍。とてもリアルな脚本に、まず驚きました。実体験の怒りがないと書けない内容ね。沖縄戦最終盤の、ガマ(洞窟)でのリアルさも実体験からの怒り。映画のように舞台で表現できたのは、力量が高度だなぁと思いました」

 歌舞団結成のきっかけとなった映画『GAMA―月桃の花―』の上映運動からつながりのある参加者も、感想を寄せた。

 「舞台でもロビーでも若い人たちが、イキイキしていた。せりふや歌が聞こえにくかったりする場面はあったけれど、それよりも、働きながらの練習で、自分たちの体験をシナリオにも活かしていっていると聴いて、素晴らしいと思った。若い人たちが、生きにくい社会と沖縄を重ねて表現している内容で、とても良かった。原発事故の被曝の子どもたちに心寄せている友人も、良かったから、また誘ってくださいと言っていた」

声あげることが希望に

 この公演は、パレスチナ・ガザ地区への無差別攻撃で命を脅かす出来事に心を痛める人、戦争準備の加速に不安を感じている人、希望ある未来を探す人、この時代を生きるすべての人に届けようと準備された。

 テーマ曲の歌詞に「だからいま言おう あなたの声で 私たちの声に 希望があるんだ」という言葉がある。このミュージカルを通じて「声を上げたら誰かが助けてくれるし、乗り越えられる希望が見える」という共感が広がるよう、今後の公演に期待が集まる。

◆今後の公演予定(年内)
11月8日(土) 18:30〜 大阪・城東公演(クレオ大阪東ホール)/11月22日(土)15:00〜 東京・したまち公演(滝野川会館大ホール)


希望を発信する舞台を

 9月14日西宮公演は182人の参加で成功しました。

 生きづらさを感じているすべての方に届けたいとの思いで、西宮市内の公民館・大学・高校・こども食堂・フリースペース・教会・会場周辺のお店にチラシを置き、エイサーまつりや4回のストリートライブなどの宣伝を行ってきました。

 その動きの中で「チラシを見た」「新聞記事を見た」「ぜひ行きたい」など、新たな出会いがありました。

 公演後には笑顔で「来て良かったよ」「心に響いた」と声をかけていただき、とてもうれしかったです。

 準備段階では苦労や焦りもありましたが、「生きづらさを超える希望を発信する舞台を広げたい」との実行委員みんなの思いと取り組みが、大きく広げる力となりました。

 この新たな出会いとつながりを広げ、戦争のない誰もが安心して暮らせる社会にしていきたいです。

(西宮公演実行委員長 広田かずや)

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