2025年10月10日 1890号
【みるよむ(746)/2025年9月6日配信/SNSの「言論の自由」弾圧を狙うイラクの最高司法評議会】
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イラクの司法機関のトップがSNSの「国家を侮辱する」表現に厳罰で臨む指示を出した。この動きには裁判所内外で批判が上がっている。6月、サナテレビは、表現の自由に対する新たな攻撃について報道した。
最高裁判所を統括する最高司法評議会の議長は、「SNS上で国家を侮辱したり現実のあり方を『歪める』人びとを監視しろ」と命じた。違反者への処罰は「最大で懲役10年」という重罰になる可能性がある。
サナテレビは「行政機関、政党、または有力な私兵組織を批判した人は国家への侮辱として訴追される恐れがある」と報じている。これでは、現在のイラク政府を批判しただけで懲役刑にもなりかねない。
法律上イラク軍の一員と規定されているイスラム政治勢力の私兵を批判しても、処罰されるのが批判した市民の方になってしまう。
不当な権力の行使を監視するためのSNS上の言論と表現の自由が、一部の権力者の都合で破壊されようとしている。
司法機関がグローバル資本の利権や政治家らの利益に奉仕している実態があらわになった。さすがにその最高司法評議会の中からも大きな批判が上がり、最高裁判所の判事9人が辞任した。「司法の独立性」「政治的対立における中立性」がなければ、公正公平な裁判など望めるはずがない。
"自由の叫び"掲げる市民
映像は、このような市民的自由、基本的人権を根底から覆す動きに対して、市民が「自由の叫びを待つ」と抗議の横断幕を掲げる場面を映し出している。
イラク市民は、権力者の不当な一方的措置に対して黙ってはいない。裁判官たちの批判の動きも、こうした世論と市民の闘いを反映しているのだ。
サナテレビは市民の声を受けて、表現の自由という基本的人権を守るために立ち上がろうと訴えている。
(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)
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