2025年10月24日 1892号
【自公政権崩壊 「失われた30年」の元凶/新自由主義政策転換のチャンス】
|
26年間続いた自公連立が解消した。「失われた30年」の大半の政治を担った自公政権。グローバル資本の新自由主義政策を推し進め、経済格差・貧困を生んだ政治責任は自公政権にある。連立解消で、高市早苗自民党総裁が総理大臣になる可能性はあやしくなった。市民の闘いが次の政権のあり方を左右する。
支持者離れ恐れる公明党
公明党の斉藤鉄夫代表は、自民党の高市早苗新総裁との2回目の会談後、「連立はいったん白紙」とし、首班指名でも「高市」とは書かないと表明(10/10)。野党時代も含め、26年間続いた自公選挙協力も解消する。
公明党が挙げた連立解消の理由は「政治とカネ」問題に自民党が具体的回答をしなかったことだった。裏金問題が表面化したのは2022年11月(しんぶん赤旗報道)。公明党が今回、高市との政策協議で「靖国参拝」「外国人排斥」以上に「裏金」を問題にしたのには理由がある。
公明党は大幅に票を減らした今年の参院選挙を「裏金議員を推薦したことが清廉なイメージを損なった」と総括しているからだ。支持者が離反した背景には、軍拡、生活破壊をもたらしている自民党と一体化していることが嫌悪されたことは間違いない。
そこに、高市の党人事が追い打ちをかけた。裏金議員の萩生田光一が幹事長代行になった。萩生田の政策秘書(辞職)が8月に政治資金規正法違反で略式起訴されたにもかかわらず、高市は真相究明を拒否した。
さらに、高市は公明党との政策協定前に国民民主党代表玉木雄一郎と接触していた。ないがしろにされた公明党は、さらなる支持者離れを恐れ、自民党との決別を選択せざるを得なかったのだ。
市民感覚と大ズレ
一方、自民党の支持者離れも加速するのは確実だ。
党人事は麻生太郎最高顧問が仕切った。副総裁に麻生本人がつき、幹事長、総務会長を麻生派で固めた。「解党的出直し」を掲げた自民党だが、旧態然とした派閥支配が続いていることが露呈した。高市は「萩生田を起用することも挙党一致体制だ」と言った。「保守票の再結集」を期待された高市が掲げる「挙党一致体制」は、傍流に追いやられた「旧安倍派、裏金議員の復権」ということだった。
ところが、この人事に対し高市を支持した地方党員からさえ不満の声が上がっている。「結局年寄りへの忖度(そんたく)」「裏金議員を起用するとは」(10/7週刊女性PRIME)。
高市は、24年の総裁選で石破に敗れて以来、弱点だった地方党員票の獲得に精力を注いできた。右翼的主張を抑え、「地方の声を聴く」「生活、健康、食糧の安全保障政策を」と訴え、前回21だった地方票を36票に増やした。この「期待」さえも裏切ることになった。「党勢回復」など望めるわけがない。
裏金問題への無策が岸田政権の支持率低下に拍車をかけ、「党内野党」の石破に期待された「清算」も中途半端に終わった。そして高市が「安倍継承」を打ち出し、居直った。自民党は公明党が離反せざるを得ないほど、市民感覚とのずれを拡げているのだ。「このままじゃ自民は溶けてなくなる」(閣僚経験者10/11西日本新聞)。自民党内でも危機感は強い。
変革の展望を拓こう
だが「裏金」問題は政治不信の象徴的な表れに過ぎない。自公政権が続いた4半世紀は「失われた30年」に重なる。経済成長は横ばい、労働者の賃金は減り続けたが、大企業の内部留保は拡大を続けた。つまり、経済は停滞しても、労働者の賃金を減らし続けることで大企業の利益が拡大する政治が行われてきたのだ。

参院選後2か月以上、消費税減税、物価高対策などが放置されてきた。政治家は自己保身に走り、政治資金のけじめすらつけようとしない。市民の怒りは高まっている。
自公政権崩壊は、グローバル資本主義のための政策を大きく転換させるチャンスだ。首相には衆院議員の過半数の指名が必要。その基準は、市民の怒りの声に応えることだ。怒りの矛先はグローバル資本主義であり、新自由主義政策である。政権交代、政策変更をかちとろう。
 |
|