2025年10月24日 1892号

【統一教会の「教義は知らない」と見え透いた嘘/高市早苗 首相にしてはいけない人物】

 公明党が自民党との連立政権から離脱した。最大の原因は裏金問題の反省なき自民党の姿勢だと言われている。高市早苗新総裁は、裏金議員たちを党役員人事で次々に復権させた。その象徴が、旧安倍派幹部の萩生田光一を幹事長代行に起用したことである。

 公明党が萩生田を毛嫌いする理由はもう一つある。統一教会との癒着だ。萩生田は地盤とする八王子市の教団関連施設をたびたび訪れ、「一緒に日本を神様の国にしましょう」と支援を依頼していた。八王子市には公明党の支持母体である創価学会の関連施設が多数ある。「裏切り者」萩生田の復権に怒る学会員の声を、公明党執行部は無視できなかったのだろう。

逮捕された現教祖

 統一教会といえば、教団トップの韓鶴子(ハンハクチャ)総裁が、韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)前大統領の妻や側近に金品を渡した疑いで特別検察官に逮捕・起訴された。教団が日本の信者から巻き上げたカネが政界工作に使われたとの指摘がある。

 そうした疑惑の教祖を多くの自民党議員が「まことの母様」「マザームーン」などと呼んで讃えてきた。故安倍晋三元首相は教団関連団体の集会に寄せたビデオメッセージで「韓鶴子総裁をはじめ皆様に敬意を表する」と述べた。

 統一教会の政治団体「国際勝共連合」は、スパイ防止法の制定を組織目標に掲げ、自民党内の推進派を熱心に支援してきた。総裁選の公約に「スパイ防止法の制定への着手」をあげた高市に、統一教会との関係をただすのは当然だ。

 ところが高市はとんでもない嘘をついて追及をかわそうとした。お笑いタレントの中田敦彦のユーチューブ番組に出演した際のことである(9/30配信)。日本を悪魔化する統一教会の教義を中田が指摘したところ、高市はこう言った。「いや、教義というのは私はわからないんですけど」「今はじめて聞いた」。さらに、教団トップは誰か知らないと言い張り、中田が韓鶴子の名前を出すと「ツルコって言っちゃダメなんですよね」としらばくれた。

 高市は教団関連雑誌の対談企画に出演したことがあるし、何より安倍元銃撃事件をきっかけに自民党と統一教会の長年の癒着関係が明るみに出て厳しい追及を受けた。「安倍の後継者」を自任する高市が何も知らないはずがないのだ。

 都合が悪くなると見え透いた嘘をつく―。厚顔無恥を絵にかいたような醜態を高市はくり返してきた。そのような人物に首相の権力を与えてはならない。

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