2025年10月24日 1892号 
            【OPEN(平和と平等を拓く女たちの絆)/参政党那覇市議がトランスジェンダー性自認「伝染」発言/許されない差別扇動】
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             参議院選挙の時から参政党は、ジェンダー平等を目の敵(かたき)にし、これまで積み重ねてきた女性の権利やそれを擁護する政策を乱暴に根こそぎつぶそうとしてきた。 
             
 選挙中での「女は仕事をせず子育てをしろ」との発言には、多くの女性たちが抗議の声を上げた。その後の臨時国会では「ジェンダー平等は共産主義的政策」と暴言を吐き、また「男女共同参画社会基本法が少子化を進めた」と事実とかけ離れた全く間違った主張をしてきた。 
             
             こうしたジェンダー平等否定と差別扇動が、いま地方自治体の場でもひろがっている。沖縄県那覇市の7月市議選でトップ当選をした参政党の和田圭子議員は9月12日、市議会の一般質問でLGBTQをターゲットに差別的な発言を行った。 
             
             「LGBT理解増進法は、子どもたちに及ぼす影響に心配がある」「学校でLGBTQ教育を行うこと自体が、トランスジェンダーを増やすことにつながる」「那覇市内の小中学校において、現在トランジェンダーの児童生徒の人数を把握しているか」という旨の質問である。また、LGBTQは「伝染する」と述べ、個人の性自認があたかも伝染病のように感染するものであり、「治療しなければならない」との科学的根拠のない差別発言まで行った。 
             
             市議は、取材に対し、発言を認めたうえで「差別をした覚えは全くない」と開き直った。多くの市民の抗議にもかかわらず、今も謝罪も撤回もしていない。 
             
             この発言は、一地方議員の個人的な見解≠ナすませられるものではない。社会に根強く残る性的少数者への偏見をあおり、性的マイノリティという社会的に弱い立場にある人びとへの配慮や権利を否定し、多様性を認めようとしない参政党の主張を地方からひろげようとする動きである。 
             
             参政党のジェンダー平等否定政策は、海外の極右の動きとも連動している。ドイツの極右政党AfD(ドイツのための選択肢)は、これまでのジェンダー政策を見直し、性的少数者の権利に反対している。「伝統的な家族モデルは、異性愛者夫妻と実の子どもからなる家族」とし、意図的に家庭での女性の伝統的役割≠強調している。 
             
             かつてナチスがユダヤ人や障害者とともに同性愛者も差別と迫害の対象としたことを忘れてはならない。憎悪扇動につながっていくこうした動きに対し、批判、抗議を強めていこう。 
             
            (OPEN代表 山本よし子) 
             
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