2025年10月31日 1893号

【市役所位置条例が3度の「否決」/「白紙撤回 公園を守れ」が市民の声/大阪・枚方市】

 京阪「枚方市」駅周辺の市有地を税金で道路整備し、超高層複合ビル建設を可能にして、市役所は邪魔になるので少し離れた大阪府北河内府民センター跡地に追い出す―これが「国・府・市」一体の再々開発事業の狙いだ。

 事業の前提となる「市役所位置条例」は、(1)3分の2以上の賛成が必要な『特別多数議決』で3年前に否決(2)今年の3月議会に市は計画案を変えずに条例案を提出したが「可決は厳しい」と市議会最終日に撤回(3)条例案提案を前提に9月議会に向けた全員協議会を開催するも提出すら断念―と、事実上3度「否決」されたに等しい。

 オープンに論議せず、市長側の議員を姑息(こそく)に取り込む姿勢には、「民主主義」のかけらもない。「市民」「議会」の軽視が露骨だ。

市民無視で計画案を変更

 府民センターは昨秋、再々開発事業の第1期事業で建設された駅前新ビルに引っ越し。本事業は、その跡地(大阪府用地)と市役所用地との“換地”を前提としていた。けれど「市役所位置条例」が3度「否決」されたため、その跡地を“市役所用地として購入”する方針に市側が変更提案してきた。

 また、事業の主要目的である「駅前のみどりの大空間(岡東中央公園を含む)」も頓挫している。民間地権者との交渉が進まず、計画エリアが狭くなっただけでなく、岡東中央公園内での新たな再開発ビル建設計画が明らかに。駅前南口の再々開発という「公共性」を口実に、「市街地再開発事業」を活用。大手ゼネコンは民間ビルとの一体計画を進め、公園を商業ベースにのせる「儲ける公園」は、全国で進められている。

 現時点で、総事業費は1000億円を、市負担額は400億円を超えている。市民福祉等の切り捨てを前提にして大阪府用地を購入しようとすることで、再々開発事業が市民生活破壊であることが、誰の目にも明らかになった。

 緊張状態が続く中、私たち「市民の会」は、市役所前行動を強化し“白紙撤回”“公園を守れ”と市長批判を強めている。公園の利用者とつながり、岡東中央公園問題でより大きな取り組みをつくろうと動き出している。

(平和で豊かな枚方を市民みんなでつくる会・大田幸世)

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