2025年10月31日 1893号 
            【みるよむ(748)/2025年9月13日配信/イラクの宗派私兵の給料はどこから来るのか?】
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             イラクでは、イスラム教シーア派の私兵組織が、イスラム政治勢力と腐敗した政府の利権のための支配を強めている。彼らの給与を支払う資金は一体どこから出ているのだろうか。2025年7月、サナテレビがこの点に焦点を当てた。 
             
 この国では、宗派の私兵がそのまま法律上のイラク軍となっている。彼らは暴力によって市民を攻撃、支配している。軍事行動はやりたい放題だ。問題はそれにとどまらない。これら数万人に及ぶ私兵の給与は、イラクの国庫から支出されている。その資金源である国家収入の多くは最大の産業・石油生産から出ている。 
             
             実は、イラクの政府収入は、2003年のイラク占領以来、米国の連邦準備銀行に管理されている。最近、米国連邦準備銀行はシーア派の私兵組織である人民動員軍(PMF)の一部の派閥への給与送金を停止した。イランとの対立を深めている米国が、イランが後ろだてとなっているシーア派勢力を抑え込むためだ。 
            資金源を握る米国
             イラクに限らずどの国の宗派勢力も「反米」を売り物にしているが、イラクの場合、その資金源は米国に握られている。 
             
             米国をはじめとしたグローバル資本は、イラク市民の福祉や教育、医療、雇用などの要求を封じ込め、石油資源の利権と利益確保のために、宗派の私兵やイラクの政治家、政府と癒着して利用してきた。一方でイランなど米国と対立する勢力が台頭してくると、そうした私兵に対し給与への制約で抑え込んでいるのだ。 
             
             サナテレビは「イラクの制度が世界の大国間の争いの人質に変わってしまった」「イラク市民は日々の糧、生計の安定、経済的な安全を失うという代償を負わされた」と批判している。このような支配の構造を変革しようと呼びかけている。 
             
            (イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋) 
             
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