2025年11月14日 1895号
【みるよむ(750)/2025年9月27日配信/宗派主義が腐敗システムを再生産する】
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イラクでは2003年の米軍による占領以後、宗派主義に基づいて権力が割り当てられ、社会の分断と腐敗システムが続いている。2025年7月、サナテレビはこの問題を取り上げた。
現在のイラクでは、イスラム政治勢力や民族主義勢力とその私兵が、政府や政治家と結びついて支配権を握っている。レポーターは「この背景に、権力と資源の分配において宗派に基づく割当制度が持続していることがある」と語る。選挙の際に、シーア派、スンニ派やクルド民族主義勢力などに議席枠が決められているのだ。内閣の閣僚の配分も、予算配分も同様だ。
シーア派は「反米」「親イラン」を掲げているが、利害によっては米国と通じたりイランと対立したりもしている。スンニ派やクルド民族主義勢力は「親米」などと言われるが、これも同様だ。各勢力の行動は、石油利権をグローバル資本と結託してどのように獲得するのかを背景としている。
石油をはじめとした富がこの連中に流れるために、「貧困や失業、公共サービスの不備」は顕著だ。さらにそれを利用した「雇用機会の援助」などで自らの勢力を拡大している。このように腐敗と不公正がまかり通り、宗派主義勢力の不正が繰り返し現れている。
それに対し、サナテレビは「すべての人の尊厳を守るイラクを求め、宗派主義から離れるよう呼びかけた大衆抗議行動が起こっている」と報告。「宗派的民族的な割当制度にノーを」と横断幕を掲げるナジャフ市民の姿が映し出される。
サナテレビは、市民による民主化の闘いでこの不当な社会構造を変えようと呼びかけている。
(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)
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