2025年11月21日 1896号

【「初の女性首相」の政策は…/世界の流れに逆行する高市政権/OPEN〈平和と平等を拓く女たちの絆〉代表 山本由子】

 「史上初の女性首相誕生」「ガラスの天井をこわした」と「絶賛」される高市早苗首相。果たして、「女性の代表」として、女性の声を反映した政策の実行を期待できるのだろうか。

反ジェンダー平等

 高市首相の政治姿勢は新自由主義、排外主義、大軍拡推進。つまり極右政権である。ジェンダー平等については、もともと反平等、保守派の中心人物だ。

 その特徴的なものが選択的夫婦別姓制度についての態度である。自民党内でも最近では選択的夫婦別姓制度を認めるべきという意見もある。しかし高市首相はかたくなに制度化に反対してきた。その理由を、「親と子の姓が違うことで、家族の一体感がそこなわれる」「(夫婦別姓は)日本社会のあり方を根本から変えることになる。伝統的な家族制度を維持していかなければならない」と述べている。

 これはまさに、女性の権利を奪ってきた戦前からの家父長制度を守っていこうという時代錯誤の思想である。

 今回は、維新との連立政権を組む中で、「旧姓の通称使用の法制化」を打ち出してきた。背景には、女性の社会進出の中で、様々な不都合が起こっていることがある。しかし、「通称使用」は、あくまでも戸籍制度は残したままの旧姓使用であり、旧姓が使えない場面も多い。何よりも改姓による「アイデンティティの喪失」は解決しないし、個人の尊厳にかかわる問題だ。

 また、閣僚に「女性の起用」と言っていたが、女性はたった二人。しかも「女性初」と宣伝する片山さつき財務大臣も反ジェンダー平等の考えの持ち主。これでは、世界で118位(世界経済フォーラム、2025年6月)のジェンダー格差は改善しないであろう。

「女性の休日」に学ぶ

 ちなみに、10月24日は、ジェンダーギャップ指数が16年連続第1位のアイスランドで、「女性の休日」がとり組まれてからちょうど50周年にあたる日であった。1975年、全国で女性の9割が参加するストライキが行われた。

 これをきっかけに女性の首相が誕生した。現在でも大統領、首相、国会議員の約半数が女性である。しかし、いまだに男女の賃金格差や移民労働者への差別も残っている。今年の「女性の休日」は、男性や移民、性的少数者との連帯を強め、性暴力の根絶や平和を求めて、アイスランド各地で大規模な行動が行われた。

 私たちもアイスランドでのたたかいに学び「連帯と団結」を通して、完全なジェンダー平等を実現しよう。

(OPEN〈平和と平等を拓く女たちの絆〉代表 山本由子)

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