2025年12月19日 1900号
【未来への責任(424)12・19朝鮮人軍人軍属の遺骨政府交渉】
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私は長生炭鉱の取り組みとともに、朝鮮半島から動員された軍人軍属の取り組みもしている。
朝鮮から動員された軍人・軍属の遺骨が放置されても、政府はDNA鑑定への韓国人遺族の参加を11年も無視し続けた。政府が無視し続けられるのは日本社会の関心がないからだ。報道は全く関心を示さなかった。そのことがまた市民の関心を遠ざけた。
私は、「長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会」の井上洋子共同代表からの協力依頼もあったが、長生炭鉱問題をそんな日本社会の状況を変えるために取り組みはじめた。この2年間、社会の関心は確実に高まっている。炭鉱の坑口が開いたが、それと同時に報道も市民の良心の扉も開いてきた。
戦争に動員したのは日本政府だ。戦死しても遺族にも知らせず、遺族の合意もなく加害国日本の軍神にされた。その遺骸は戦地に放置された。朝鮮半島から戦地に動員された戦没者は2万人を超える。
2016年戦没者遺骨収集推進法ができて、やっと日本人のDNA鑑定と家族への返還の取り組みが始まった。しかし、日本政府は韓国からの動員された遺族の収容された遺骨とのDNA照合参加は11年間にわたり交渉を続けるも、理由を次々と変え拒否し続けている。
最近は、「日本人に鑑定のめどがついていないので理解してほしい」と「日本人ファースト」の理由を押し付けてきた。目途(めど)がついてきたら今度はまた返還の条件が調整できていない、つまり、また「謝罪しない」と言う条件を韓国側に押し付けているのだ。安倍元首相は「子や孫の世代まで謝らせない」と言い、それは官僚たちに今も生き続けている。
韓国ではその孫の世代が、靖国神社への合祀取り消しを求めて12月19日に裁判が始まる。子や孫の世代になっても、日本が植民地支配下の朝鮮半島から父や兄を直接動員した戦後処理は全く終わっていない。
12月19日午後の交渉では厚生労働省社会援護局と対峙する。祐天寺の浮島丸犠牲者含む700名の韓国・朝鮮民主主義人民共和国の遺骨、さらに壱岐の天徳寺の86名の朝鮮人の遺骨なども返還への解決を求めていく。
まさに政府が放置してきたのは長生炭鉱だけではないのだ。
(「戦没者遺骨を家族の元へ」連絡会・上田慶司)
◆12月19日(金)
▽午前11時〜韓国人軍人軍属靖国合祀取り消し裁判/東京地裁30分前集合
▽午後2時半〜「朝鮮から動員された軍人軍属の遺骨政府交渉」/衆院第1議員会館 国際会議室 午後2時〜入館証配布/主催「戦没者遺骨を家族の元へ」連絡会・太平洋戦争犠牲者補償推進協議会・遺骨奉還宗教者市民連絡会
(マスコミフルオープン、ズーム参加可能)
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