2025年12月19日 1900号

【みるよむ(754)2025年11月22日配信/女性の権利を奪い取るイラク「身分法」に反対しよう】

 イラクでは2025年、女性の権利をはく奪する「個人身分法」が制定された。女性のあらゆる権利を攻撃するこの法律についてサナテレビが報道した。

 「個人身分法」では、未成年の少女との結婚を容認し、「6歳や9歳の娘」の父親に金を払いさえすれば「婚姻」が認められる。

 この法律は、イスラム教シーア派のジャアファル学派の法学教義に基づいている。それはイラン・イスラム共和国の憲法の土台ともなっている。1400年も前に成立したイスラムの教義を現代社会にそのまま当てはめれば、基本的人権、男女平等などは否定されてしまう。女性の権利は著しく抑え込まれていく。

 まず、第1条A項で「女性は結婚後に宗派を変更できない」とされる。強制的に改宗させられたとしても、女性の意思は無視される。

 女性に対する後見権は男性だけに認められている。離婚は「法的条件が満たされていても宗教当局の承認を必要とする」。女性の離婚は「夫と裁判官に加え、聖職者のファトワ(宗教的見解)に拘束」されるのだ。

 相続では、妻は土地の相続が認められず限定的な金銭的価値だけだ。親権については、妻は離婚後、再婚すると同時に子どもの親権を失うが、父親は再婚しても権利を維持する。

 まるで、大日本帝国憲法下の家父長制度以上にひどい女性の権利はく奪である。

権利求め立ち上がる市民

 イラクの市民は、この悪法そのものに明確に反対している。「個人身分法の改正ではなく、家庭内暴力防止法の制定を求める」「男性支配的な立法はもうたくさんだ/私たちは権利を求める」などのスローガンをプラカードや横断幕でアピールし、反対行動に立ち上がってきた。

 「個人身分法」を許さず人権と平等を求めるイラク市民の闘いに、連帯したい。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)

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