2025年12月26日 1901号
【みるよむ(755)/2025年11月29日配信/「人員不足でも採用しない」とイラク政府/医療系卒業者に職場を確保しろ!】
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イラクでは医療系学校の卒業生が働くことができない事態が起こっている。政府が確保しなければならない職場を提供しないためだ。若者たちは怒り、政府に抗議した。2025年9月、サナテレビが報道した。
医療系卒業生が大規模な抗議デモを展開している。一体なぜ? レポーターが解説する。
政府・保健省は「医療機関の人員は足りており、これ以上の採用は必要ない」と通告した。もともとイラクでは、「中央政府任用制度」により医療系卒業生は職場が保障されていた。それが突然打ち切られたのだ。
長い年月勉学に励んできた若者たちの希望を、人生を踏みにじる医療政策に対して怒りが湧き起こった。しかも、医療現場では「病院は患者であふれ、深刻な医療従事者不足に苦しんでいる」「現職の医師は少ない人員の中で過酷な労働を強いられている」という。
さらに政府は、国立大学だけに限定されていた医学部を私立大学でも設立を許可してきた。その私立大学には「有力な政党や政治家が所有する」ものもある。
世界共通の課題
現在のイラクの医療は、営利追求に走っている。政府は、実際には医師、医療従事者不足なのに人員が余っているかのように宣伝し、医療の民営化、医療予算の削減を進めているのだ。
日本や欧米でも似たことをしている。医療民営化と公的医療削減との闘いは全世界市民の共通課題だ。
抗議デモの参加者は、「私たちは退かない」「沈黙もしない」「中央政府任用は法的にも正当な権利だ」と声を上げている。ここに、イラクの医療民営化や市民の健康切り捨て、雇用破壊の攻撃に立ち向かう若者たちの姿がよく表れている。
サナテレビは医療切り捨ての現実と医療系卒業生の怒りを伝え、医療を充実させる社会に変えようと訴えている。
(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)
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