2025年12月26日 1901号
【ジュゴン保護キャンペーンセンターが交渉/「新基地完成時期」も答えられない政府/国際条約で追及】
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11月28日、ジュゴン保護キャンペーンセンター(SDCC)は、前回4月の交渉を踏まえ、防衛省・外務省、環境省に要請書を提出し政府交渉を行いました。
防衛省・外務省交渉では、2025年2月の石破前首相とトランプ大統領との日米共同声明から「普天間飛行場の継続的な使用を回避するための唯一の解決策」が削除されたことについて問いただしました。外務省は「共同声明は2国間で調整して作成している。1字1句全く同じであるわけではない。文言の有無にかかわらず辺野古移設が唯一の解決策であることは変わりない」と従来の答弁を繰り返しました。
SDCCからは、「これまで(2017年の安倍・トランプ、2021年の菅・バイデン、2024年の岸田・バイデンの各共同声明)は、『辺野古が唯一の解決策』という文言があった。私たちが働きかけている環境問題に厳しい米国連邦議会が反対しているから書けなかったのではないか」と追及しました。
新基地建設を巡って、工事の完了と米軍普天間飛行場の返還時期について「工期は工事開始から9年3か月、提供手続きの完了まで約12年」と回答しましたが、「いつ工事は終わるのか?いつ普天間飛行場は返還されるのか?」との質問には、大浦湾側の軟弱地盤工事を控えている中で、答えられませんでした。
環境省交渉では、第一に「移動性野生動物の保全に関する条約(ボン条約)」が発表したジュゴン報告書は、沖縄のジュゴンが危機的状況にある要因の一つに辺野古新基地建設の影響を挙げています。これについて環境省は「ボン条約を締結していないので評価する立場にない」と報告書の評価を避けました。
第二に来年3月にブラジルで開催される「移動性野生動物種の保全に関する条約(CMS)COP15」、「ジュゴン覚書締約国会議(MoU)」への参加についても、「ボン条約を締結していないので、人的・予算的に難しい」と国際社会の要請に背を向けました。
参加した伊波洋一参議院議員は「日本環境管理基準(JEGS)では希少種の生息地保護が義務づけられている。米軍を縛る基準なのに日本政府が守らせようとしていない。JEGSを使えば米軍の北部訓練場や辺野古新基地建設について米軍にものが言える」と環境省にJEGSの活用を要求しました。
日米共同声明や辺野古新基地の完成時期、普天間飛行場の返還時期や来年3月のジュゴン覚書締約国会議への参加など回答が不十分だった点について再質問として提出し、日本政府を追及していきます。
(SDCC事務局長・三村昭彦)
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