2026年01月02日 1902号
【読書室/令和の米騒動 食糧敗戦はなぜ起きたか?/鈴木宣弘著 文春新書 900円(税込990円)/自立した農と食の再生へ】
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コメ農家の時給が10円=\農林水産省の統計(2022年)で、国にからの補助金も含むコメ農家などの年間収入378万円から肥料代・光熱費等の経費377万円を除いた所得は1万円。それを時給換算した数字だ。状況はこれほど悲惨なのに、稲作を持続させる政策はないに等しい。
石破前首相は、コメ高騰の原因がコメ不足にあることをなかなか認めなかった。小泉前農水相が備蓄米放出パフォーマンスをしてもコメ価格は下がらず、24年8月、やっとコメの増産へと舵を切った。ところが、高市政権―鈴木農水相になるとその増産方針が撤回されてしまった。農政は政治に翻弄(ほんろう)され続けている。
コメ農家(個人経営体)は05年に140万以上あったが、20年には70万を割った。平均年齢は71・1歳だ。著者は、今後5年以内にコメ農家が全滅してもおかしくない、と危機感を持つ。危機宣伝ではない。今の平均年齢からすれば、70代後半になって重労働の稲作を続けようとなるだろうか。
現在のコメ農家は、価格下落、コスト高、後継者不足の三重苦にあえいでいる。しかも低収入だ。ぎりぎりの状態を「先祖からの農地は何としても守る」とする気概が何とか支えている。
稲作が縮小すると食料自給率が大きく下落する。著者の試算では、35年にコメの自給率は11%となる。農水予算の大幅増、「価格支持+農業者への直接支払い(=実質上の所得補填〈ほてん〉)」が急務と著者は主張する。
第5章は「自立した農と食を取り戻す」。地域ごとの自給をめざし、学校給食を通じた循環や生産者と消費者を繋ぐ事例を紹介する。コメ農家の「再生への道」である。 (T) |
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