2026年01月23日 1904号
【再稼働に焦り深める原発推進勢力/柏崎刈羽 浜岡も行きづまる/フクシマ15年 今年こそ原発即時廃止を】
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「可能な限り原発依存度を低減」の文字が削除され、原発の「最大限活用」に180度転換した昨年の改定エネルギー基本計画後の原発再稼働路線は、高市政権でさらに加速する。だが、安全無視の再稼働推進の動きにはほころびも目立ってきた。
東電は「経営再建」へ
昨年、新潟県柏崎刈羽原発6・7号機の再稼働に花角英世県知事の「同意」を得た東京電力は、1月20日にも6号機を再稼働させる。
この裏には東電の経営危機がある。東電は1月9日、今後10年間の経営再建計画「総合特別事業計画」を策定し国に申請した。柏崎刈羽再稼働で収支が1000億円「改善」になるものの、電力自由化後の競争激化などで抜本的な経営改善にはつながらないと判断。業務提携先を募集する。
1000億円は、柏崎刈羽再稼働への同意を取り付けるために、東電が新潟県に「寄付」したのと同額である。そもそも東電の経営が悪化したのは、柏崎刈羽原発の安全対策費に1兆6800億円もの巨額の投資が必要になったからだ。
福島原発事故後の賠償・除染・廃炉のため23兆円を超える債務を抱え、各地の発電所の資産も兆単位に上る東電と「業務提携」する民間企業など現れるわけがない。東電は原発のために経営破綻することになる。
浜岡で「ねつ造」発覚
一方、静岡県浜岡原発3・4号機では、年明け早々、中部電力によるデータ「ねつ造」が発覚した。
浜岡原発は、福島原発事故直後の2011年に運転停止。新規制基準による審査を2014年に原子力規制委員会に申請、審査が続いてきた。

データのねつ造は、原発審査の根幹部分に当たる基準地震動のデータをめぐって行われた。計算条件の異なる20組の地震動を計算し、それらの「平均に最も近い波を代表波」として基準地震動とするのが本来の方法だが、実際にはこれと異なる計算方法を採っていた。とりわけ2018年以降は、中部電力が基準地震動にしたい数値を最初に決め、それが20組の平均に最も近くなるように残りの19組の地震動を選定していた。恣意的な数値選定だ。
基準地震動のデータを恣意的に操作すること自体、言語道断だが、浜岡原発ではその重大性は際立っている。「浜岡は南海トラフ地震の震源域の直上であり、国民の関心が高い」(規制委・山岡耕春委員)からだ。山中伸介・規制委委員長も「安全に直接関わる審査データのねつ造案件で、明らかに不正行為だ。極めて深刻で重大な案件。委員会としても審査を止めることに異論はない」と述べ、今後の審査を停止する方針を明らかにした。
そもそも、今回の不正発覚は規制委に対して行われた公益通報がきっかけだ。規制委は中部電力の不正を見抜く努力もしないまま、合格に向けて動いていた。
柏崎刈羽原発の地元・新潟県の「規制庁・規制委員会を監視する新潟の会」(桑原三恵代表)など県内外3市民団体は、浜岡以外の原発でも不正事例がなかったか調査を求める要望書を規制委に提出した。だが規制委は調査の意向はないとする。規制委に中部電力を批判する資格はない。

福島事故15年 脱原発へ
日本原子力発電は、東海第二原発の防潮堤工事の完成について、予定していた2026年12月完成は「現時点で厳しい状況にある」と再延期の見通しを示した。
青森県で建設中の大間原発も、電源開発は2030年度の運転開始予定が「かなり厳しくなっている」と目標延期を示唆した。高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の処分方法はいまだに確立していない。国の原発回帰、最大限活用路線は各地で行きづまっている。
今年は福島事故から15年、1986年のチェルノブイリ原発事故から40年になる。民意無視と不正に頼らなければ推進できない原発は廃止しかない。
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