2026年01月23日 1904号
【「居住の安定は生存の基礎」/国際基準を踏まえた被災者の保護を/三浦反対意見を力に避難者の人権確立へ/住宅追い出し裁判 最高裁判決】
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1月9日午後3時、最高裁第二小法廷。裁判長を務める三浦守裁判官が、原発避難者住宅追い出し裁判上告審の判決を言い渡す。
「主文。本件上告を棄却する」。理由の要旨を含め判決文の読み上げは3分足らずで終わった。
15分後、最高裁正門前に姿を見せた大口昭彦弁護団長と柳原敏夫弁護士の手から「不当判決」「打ち切り判断を免罪」の旗が垂れ下がる。大口弁護士は「当方の敗訴。腹立たしい最低裁判所の判断だ」と糾弾する一方、「三浦判事が情理を尽くした意見を出してくださった」と付け加えた。
判決は全部で26ページ。うち16ページが三浦裁判官の反対意見に充てられている。「被災者にとって、生活の基盤を失って避難するという経済的にも精神的にも困難な状況下、居住の安定に係る利益は、生存の基礎であって個人の尊厳及び幸福追求に関わる」と高らかに宣言し、「避難先での生活の継続を望む区域外避難者が数多くいる状況において、住宅提供の打ち切りは、区域外避難者の居住の安定に係る利益を損なう点で、本質的な瑕疵(かし)がある。社会通念上著しく妥当性を欠き、裁量権を濫用したもの」と断じた。
記者会見で大口弁護士は「これに確信を持ち、憲法13条、25条の権利は決して譲らないと闘っていけば、必ず道は開ける」と述べ、「原発避難者の住宅追い出しを許さない会」代表の熊本美彌子さんも「三浦意見を大事に大事に使い、避難者が自分たちの権利をきちんと主張できるようにしたい」と決意を語った。
三浦意見は「被災者保護の法令の解釈適用は、社会権規約及び国内避難に関する指導原則の趣旨を踏まえて行うのが相当」とも指摘する。柳原弁護士は「最高裁判決にこの言葉が出るのは初めて。原発事故の救済に対応していない災害救助法の穴を埋めるのが国際人権法だ、とずっと強調してきた私たちの主張と同じ内容を明快に言ってくれた」と高く評価した。
この日、最高裁前では43席の傍聴抽選に96人が列を作った。報告集会では「三浦反対意見は当事者の方がたが諦めずに闘い続けてきたからこそ得られたもの」(原発事故被害者団体連絡会・武藤類子さん)などの連帯発言が続き、当事者は「みなさんの支援でここまで来た。本当に感謝している」とあいさつした。

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