2026年02月06日 1906号
【衆院選―国債依存・大軍拡路線を問う/高市が首相でいいのかーNOだ】
|
衆議院選挙が1月27日公示、2月8日投開票で行われる。突然、解散を決めた高市早苗首相。自身や身内のスキャンダルが焦点化され、「高支持率」急落の前に「絶対安定多数」を確保したいという思惑が透けている。「高市が首相でいいのか」。答えはノー、即退場だ。自民・維新を政権の座から追い落とそう。グローバル資本主義の体制を大転換するときだ。
「日本の危機」
高市はよほどトランプ大統領の「やりたい放題」がうらやましいのだろう。直接選ばれた大統領なら「なんでもできる」と思ったか、「自分が総理大臣でいいのか、主権者たる国民に決めていただく」(1/19記者会見)と見えを切った。議員内閣制は承知の上で、あえて「高市を選べ」と迫った。
だが世論は「解散」に批判的だ。JX通信などが行った世論調査(1/17〜18)では解散肯定は35%、否定は44%。内閣支持率も12月から7ポイント下がり63%、不支持は5ポイント上がり22%。高市の思惑通りにはいかない。
解散理由が問われる中で、高市は「国の根幹に関わる重要政策の大転換」をやるための審判、「日本の危機」を救うために待ったなしと強調した。
会見で語ったのは「経済成長」を最優先に、大軍拡へ突き進むことだった。「(欧米で潮流となっている)政府が一歩前に出て、官民が手を取り合って、重要な社会課題の解決をめざす新たな産業政策」への転換と言った。つまり産業資本にもっと税を投入するというだ。
「日本の危機」を救うとは、サプライチェーンなど中国依存から脱却することだ。政府主導でAI、半導体など「成長分野」=中国と競合する分野にテコ入れする。経済でも軍事でも中国には負けないと高市は思っている。「安全保障政策を抜本的強化」するとし、「長期戦への備え」「抑止力のさらなる強化」「防衛産業技術基盤の更なる強化」とまくし立てているのだ。
国債依存は不変
衆院選に向けた自民党の政策パンフの第1項目は「強い経済」だ。その中の「財政運営」の項では「マーケットからの信認確保」の言葉が繰り返されている。
「解散」報道後、株高・円安・金利高が加速した。特に長期国債の利回りが高騰。新規発行40年国債は30年ぶりに4%台になった。金融資本は、日本の財政悪化が続くことを見越して超長期国債を売っている。
高市は「責任ある積極財政」の実績として、「26年度予算はプライマリーバランス(基礎的財政収支)が28年ぶりに黒字、新規国債発行額は30兆円以内に抑え、政府債務残高対GDP比を下げた」とアピールし、「信頼」を得ようとした。だが、会見3日後の22日、経済財政諮問会議(議長・高市首相)は「赤字」との試算を示した。もともと無理をして作り出した「黒字」だった。
たとえば、税収見込み額を大幅に増やし、国債発行額を抑えた。これまで、補正予算を前提に、当初予算案では税収額を控えめにしていた。高市は「補正予算を前提とした予算編成を根本から改める」とし、その必要をなくした。他にも赤字国債を建設国債に付け替えるなど、粉飾したが「黒字」にはならなかった。国債依存体質は変わらない。
政府債務残高の対GDP比はピーク258%(20年)から229・6%(25年予測)と下がっている。だがこれも、名目GDPの伸びにより「改善」されただけで債務残高は減っていない。
金融資本の利益
一方、国債は金融資本にとっては国家が返済を保証する優良な金融商品である。
国債現物市場では年間2千〜3千兆円の取り引きが行われている。株式市場の倍の取引額だ。また、国債を担保に短期取り引きするレポ市場は、年間4〜5京(兆の1万倍)円の規模といわれる。実に実体経済(GDP)の70〜80倍にもなる。1秒間に数千回に及ぶ売買を繰り返すHFT(超高速取り引き)も行われ、売買差益を得ている。投機にとっては国債価格の変動は儲けのチャンス、国債の発行は多いに越したことはないのだ。
財政にとって国債価格の低下は何を意味するのか。国債は、政府が返済を約束する利子付き借金証書である。仮に1万円の国債が9千円で取り引きされると利回り(9千円で1万円とその利子が得られる)が上がり、新規発行国債の利子も高くしなければ売れなくなる。財政に占める利払い額が増えることになる。
2026年度予算案には約13兆円の利払い費が計上されている。予算の1割にも及ぶ税を金融資本にくれてやることになる。もっとも国債自体、金融機関からの借金であり、返済は税で行う以外にないものだ。
財政は、富の再分配を行うことに役割がある。誰から税を集め、どこに使うかが問われる。富裕層から徴税し、貧困層への社会保障を充実させ、生きる権利を保証するのが政策の基軸でなければならない。国債を発行し、金融資本の利潤のために支出するのは、まったく逆転した税の使い方だ。



富の再分配を
衆院選の争点の一つ、消費税。与党も含め何らかの減税措置を公約に掲げる。目的は「物価対策」なのだが、それとともに不公平税制の是正を言わなければならない。低所得者層ほど税負担割合が増える消費税は法人税減税に使われ、社会保障の充実にはならなかった。GDPを上回る637兆円以上(24年度末)の内部留保を貯め込む大企業に、さらに税金を投入して「経済を活性化」するなどありえない。

富裕層への課税強化が必要だ。課税負担が減る「1億円の壁」解消に金融取引税創設など、具体案はでている。争点にすべきだ。
どう使うか。社会保障費の充実だ。医療、生活保護、介護保険、年金など。どれも最優先とすべき課題だ。
軍事費の大幅削減。まして、軍事費調達のために国債を発行することなどあってはならない。米国防総省が公表した「国家防衛戦略(NDS)」は同盟国に対し軍事費GDP5%を求めた(1/23)。世界の分断を進め、対話と協調を遠ざけるものだ。重要な争点に押し上げるべきだ。
高市が政権を継続することになれば、「大転換」が起こる。「旧来の議論の延長ではない抜本的改定」をする軍事3文書。「強い日本」を連呼し、非核三原則見直し、武器輸出全面解禁、戦争国家へと驀進(ばくしん)するだろう。トランプ流に「法は必要ない。自分の信条に従う」と言い出しかねない。止めるのは今だ。
金融資本・大企業、富裕層に課税を、軍拡を止め、社会保障に税を。起こすべき大転換はこれだ。衆院選勝利で、グローバル資本主義の体制転換に突き進もう。 |
|