2026年02月06日 1906号
【「月桃の花」歌舞団/ユースメンバーの歌舞団カフェへの思い/心を開き生きづらさを語りつながる場】
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「月桃の花」歌舞団は、生きづらさを抱えるすべての人びとに希望を届けるミュージカル『私はここだ! Hope is in ourselves』の全国巡回公演を続けている。公演後には、歌舞団ユースメンバーを中心にして若者などが感想や思いを伝えつながりを作り出す「歌舞団カフェ」を開いている。担っているメンバーに、カフェにかけた思いや工夫を寄稿してもらった。
歌舞団カフェは、歌舞団の公演や活動をきっかけに集まった人たちが、安心して自分の思いを語れる場として取り組んできた活動である。その中心を担っているのが歌舞団ユースメンバーだ。ユースメンバーには、「舞台を観て終わりではなく、人と人がつながり続ける場をつくりたい」「生きづらさを一人で抱えなくていいと感じられる時間を届けたい」という共通の思いがある。
安心して場にいられる
昨年9月、兵庫県西宮市で行った歌舞団カフェでは、西宮公演後という機会を生かし、参加者が歌舞団や団員を身近に感じられること、そして安心してその場にいられることを大切に準備を進めた。特に工夫したのは、最初の空気づくりである。オープニングでは、「ここに来てくれたこと自体に意味がある」「上手く話せなくても、無理に話さなくてもいい」と、はっきり言葉にして伝えた。参加するだけで歓迎されていると感じてもらうことが、安心につながると考えたからだ。
歌舞団カフェでは、生きづらさや、普段はなかなか口にできない思いが自然と語られていく。つらい経験ほど「人に話してはいけないもの」として一人で抱え込んでいることが多い。だからこそユースメンバー自身が、舞台への思いや個人的な経験を率直に話し、まずはこちらが心を開くことを大切にした。その姿に背中を押されるように、「こんな話をしたのは初めて」「ここなら話してもいいと思えた」と参加者の声が続き、これまで語られてこなかった経験が少しずつ共有されていった。
また、言葉だけに頼らない工夫として、合唱体験も取り入れた。一緒に声を出すことで、説明しなくても伝わる一体感が生まれ、場の緊張がやわらいだ。西宮での歌舞団カフェをきっかけに、「これからも関わりたい」「団員として参加したい」と話してくれる人も現れ、出会いが次の関係へとつながっていった。
「自分も話していいんだ」
11月、大阪市城東公演後の歌舞団カフェでは、これまでの学びを生かし、参加者の声をより丁寧に受け取る工夫を行った。特にアンケートの時間をしっかり確保し、「今日何を感じたか」「何が心に残ったか」を言葉にしてもらった。参加者の思いは、次の活動につながる大切な材料であり、ユースメンバー自身の学びにもなっている。
印象的だったのは、中学2年生のユースメンバーが、自身のつらい経験や歌舞団に関わって変化した気持ちを参加者の前で語ったことである。その姿が場の空気をやわらかくし、「自分も話していいんだ」と感じる参加者が増えていった。その後も同世代とのつながりを自ら広げ、一度きりで終わらない関係づくりへと踏み出している。
歌舞団カフェは、参加者のための場であると同時に、ユースメンバー自身が人と向き合い、成長していく場でもある。安心して話せる場が、人と人をつなぎ、次の一歩を生み出している。今後も歌舞団カフェを、思いが循環し、つながりが続いていく場として大切にしていきたい。
(「月桃の花」歌舞団・松井穂香)
◆『私はここだ!』今後の公演(いずれも15時開演)
▽横浜 2月23日(月・休)横浜市南公会堂▽枚方 4月18日(土)枚方市総合文化芸術センター▽大阪南部 5月10日(日)SAYAKAホール(大阪狭山市文化会館)


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