2026年02月06日 1906号
【コラム 原発のない地球へ/いま時代を変える(36)/避難者住宅追い出し訴訟の最高裁判決 三浦反対意見は賠償訴訟でも使える】
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1月9日の避難者住宅追い出し裁判の最高裁判決は、原審(仙台高裁)の判決に違法はなく、上告人(避難者)の上告受理申立理由は採用することはできないとして、上告棄却となった。
しかし裁判長の三浦判事の反対意見は、上告人の主張をほぼ認めるもので、この反対意見が判決として残ったことは大きな意味がある(3面参照)。この三浦反対意見は、原発賠償訴訟(集団国賠訴訟)に関わる部分もあるので、それを紹介したい。
「3 応急仮設住宅の供与に関する措置についての判断の瑕疵(かし)」の中で、次のような趣旨のことが書かれている。
「放射性物質汚染対処特措法」に基づき、放射性物質による環境汚染が人の健康または生活環境に及ぼす影響を速やかに低減することを目的として、廃棄物の処理及び土壌等の除染等の措置が行なわれ、福島県の41市町村の全域を除染特別地域または汚染状況重点調査地域に指定したが、応急仮設住宅の提供が打ち切られた2017月3月末までにその指定を解除した(注・除染が完了したことを意味する)のは5町村にとどまる。この時点において、福島市、郡山市、いわき市及び南相馬市を含む36市町村に及ぶ広範囲の地域は、依然として環境汚染が著しい地域だったといえる。
このような環境汚染状態が続いている居住地から避難している被災者にとって、その避難の継続は、自らの受ける放射線量が障害を及ぼすおそれのないようにするという点で、放射線障害防止法3条の定める基本方針(注・一般公衆が受ける線量を「障害を及ぼすおそれのない線量」1_シーベルト/年以下にする)に沿うもので合理的な根拠がある。もとより区域外避難者は、自らの意思で元の居住地に帰還することもできるが、避難を継続するか帰還するかはひとえに個人の選択の問題である。
原発賠償訴訟では、避難の相当性が認められる期限を「冷温停止・事故収束宣言」が出された2011年12月末までとする判決が多い。だが三浦判事は、2017年4月の時点でも避難の継続には合理的根拠があると言っているのだ。2012年以降の避難の相当性を認めない判決の不当性は明らかだ。
そして反対意見は、合理的な根拠をもって避難を継続する区域外避難者にのみ(区域内避難者への住宅提供は2017年4月以降も継続された)、当該被災者の具体的な事情を考慮せずに一律に応急仮設住宅の継続使用を認めないのは誤りだとしている。
「個人の選択」は子ども被災者支援法等の適用であり、区域内外の差別的扱いを非とするのはヒメネス=ダマリ―国連特別報告者の調査報告書を踏まえたものだ。最高裁判事によるこの正論は、いままだ地裁や高裁で争っている訴訟での争点の1つである避難の相当性をめぐって大いに活用できる。(U)
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