2026年02月13日 1907号
【みるよむ(760)2026年1月24日配信/政治家が暗殺されるイラクの政治】
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2025年10月、イラクの総選挙の最中に衝撃的な事件が起こった。立候補者が爆弾で暗殺されたのだ。サナテレビは政治的暗殺が頻発する状況を報道した。
この暗殺事件の犠牲となったのは、国民議会選挙に立候補していたバグダッド州議会議員のサファー・アル=マシュハダーニー氏だ。バグダッドの北に位置するタルミーヤ地区で、自動車に仕掛けられた爆弾が爆発して殺害された。
サナテレビは別の事件も伝える。選挙の候補者の事務所で火災が発生した。原因は、意図的に電気系統がショートさせられたか、直接放火されたかのどちらかと推定されている。悪質な犯罪が議会選挙の場でまかり通っているのだ。
イラクは2003年の占領後、何度も選挙を経験し、「民主主義国家になった」と言われてきた。しかし、その実態は、白昼堂々と政治家の暗殺や放火まがいの犯罪行為が行われている有様なのである。
しかもこんな重大犯罪が行われていても、政府や公的機関はまともに対応しない。サナテレビのレポーターはその状況を「まるで誰も関心がないみたいだ」と表現しているほどだ。
ありえない公正選挙
近代的市民社会では、だれもが生命を危険にさらされないよう国家と社会が責任を持って守るのが当然だ。ところがイラクの社会は、基本的人権が守られず、選挙期間でも暗殺や放火が平然と行われている。このような状況で公正な選挙などできるはずがない。
イラク社会は、石油利権に群がる政治家や諸勢力が腐敗を深め、政治上もモラルの著しい低下を引き起こしているのである。
サナテレビは、政治家の暗殺という重大な事件でさえまともに取り上げられないイラク社会の暴力的な一面を示した。そして、こうした政治体制の真の民主化を進めようと訴えている。
(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)
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