2026年03月06日 1910号
【未来への責任(426)/歴史をただす強制動員被害者の遺骨】
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被害者が次々と亡くなっていく中、各地に残された朝鮮人強制動員被害者の遺骨は、当事者に代わり人権侵害の歴史の事実を私たちに伝えている。
今、山口県宇部市・長生炭鉱水没事故による朝鮮人犠牲者136人の遺骨返還の取り組みが注目されている。
昨年4月の国会で、石破前首相は市民団体が進めている遺骨収集のための潜水調査について「危険があるということを政府が承知していながら…自己責任ですからね、みたいなことを言うわけにもならぬ」と答弁した。
今年1月の日韓首脳会談では、引き揚げられた遺骨のDNA鑑定を日韓共同で行うことが合意され、厚生労働省も1月30日に初めて専門家を連れて現地調査に入った。
目の前にありながらも水深40bの朽ちた坑道に眠る遺骨の引き揚げは、一市民団体にできることではない。そして今年2月、追悼集会が開催されているまさにその時、潜水調査を行っていた台湾出身ダイバーが亡くなるという不幸な事故が起こってしまった。
2004年、日本政府は「民間徴用」の朝鮮人の遺骨も「人道的観点」から返還のための調査を行うことを約束した。企業や地方自治体、宗教関係者らへ情報提供を求め、日韓両政府間の協議が行われたが、東京都目黒区の祐天寺に保管されていた軍人軍属の遺骨以外の返還は進まなかった。
その根本原因は、明治産業革命遺産や佐渡鉱山のユネスコ世界文化遺産登録時に顕著に見られた強制動員の責任を否定する政府の姿勢にあった。
遺族が高齢化する中、戦没者遺骨の収集を促進するために2016年に「戦没者の遺骨収集の推進に関する法律」が制定された。この時日本政府は、朝鮮人軍人軍属についても韓国政府の要請があれば対応を検討すると国会答弁した。
韓国の太平洋戦争被害者補償推進協議会と日本の「戦没者遺骨を家族の元へ連絡会」が再三、厚労省や外務省に朝鮮人軍人軍属の遺骨返還とDNA鑑定を求めたが、日本人遺族のDNA鑑定が終わるまではできないなどと交渉は進展しなかった。
しかし、収集事業が本格化するにつれ、日本人と朝鮮人の遺骨を「判別」する作業は避けて通れなくなっている。南洋諸島のタラワ島には約1200人、ペリリュー島には550人以上の朝鮮人が動員された。これらの遺骨収集は日韓共同でなければできない。
また、長生炭鉱のように水没した遺骨など、収集されていない遺骨は返還の対象外であるとする日本政府の姿勢も許されない。日本政府は強制動員の責任を認め遺骨調査を行い、謝罪とともにすべての被害者の遺骨を返還しなければならない。
(日本製鉄元徴用工裁判を支援する会 中田光信)
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