2026年03月06日 1910号
【みるよむ(761)/2026年1月31日配信/権力が腐敗させるイラクの社会的芸術】
|
イラクでは公共の場で表現される芸術活動が、権力者の意図でゆがめられている。10月、サナテレビはこの問題を取り上げた。
サナテレビが指摘しているのは、イラクの芸術祭や国家的な祝祭の現状だ。番組は「下品さと空虚な見世物の公開舞台になっている」と厳しく批判する。
「文化や芸術表現の場が、権力を持つ者に近しい以外に何の価値もない人物が称えられるばかげたカーニバルに変わった」「舞台上の連中は、お世辞とうわべだけの言葉に満ちた空虚な演説を繰り返すだけという状況だ」と言う。
サナテレビはバグダッド国際演劇祭やイラク建国記念日に起きた事例を取り上げた。歌手が歌った楽曲は「意図的で最も低俗な音楽であったために、式典にまったくふさわしくなかった」という。そのために「オーケストラは芸術への敬意から演奏を中断しました」と異常な事態となった。
国家、行政当局はなぜこんなことをするのだろうか。「運営の不手際や計画の弱さ」もあるが、サナテレビが根本的理由として上げるのは「国家的行事を政治的な浅薄さや腐敗した人物の粉飾の道具へと変える体系的な政策である」ということだ。「政府が社会に仕掛ける体系的な知的劣化政策を明確に反映している」と指摘する。
ゆがめられる文化活動
番組は「イラクの悠久のアイデンティティが、安っぽい歌、挑発的な服装、作り笑顔に貶(おとし)められてよいのでしょうか」と怒りを表し、こんなことでいいのか、と強く問いかける。
公的な芸術表現や文化活動をゆがめ、低劣で軽薄なものにしてしまうことは、イラクに限らず世界中の国々で見られることだ。
サナテレビは、社会の変革の中でこのような文化、芸術活動の歪曲を正していこうと訴えている。
(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)
 |
|