2026年03月13日 1911号
【沖縄・辺野古新基地は「唯一の解決策」ではなかった/ウソとごまかし重ねる高市政権】
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「日米間の認識に全く齟齬(そご)はない」。沖縄・辺野古新基地が完成しても普天間基地は返還しないとする米政府の文書について問われた小泉進次郎防衛相はそう答えた(2/20)。普天間返還の「唯一の解決策」辺野古建設―はウソだった。市民をいかに「だまし続ける」かが政府の姿勢だ。戦争する国への道を突き進むために、政府はいくつものウソを並べている。
「辺野古」のウソ
米「普天間返還せず」言及―と沖縄タイムスが報じた(2/15)。普天間飛行場の滑走路は約2800bだが、辺野古新基地の滑走路は1800b。すでに米国の会計監査院は2017年、国防総省に「海兵隊の能力を維持するため代わりの滑走路の選定」などを勧告していた。これに対し、国防総省は25年9月「普天間基地に代わる滑走路の選定は日本政府。確保されるまでは普天間基地は返還されない」と回答した。これが今、発覚し、報道された。
米国防総省は辺野古新基地が完成しても普天間飛行場は返還しない。日本政府も同じ見解だと認めた。
米軍が普天間返還を否定する発言はこれまでにもあった。23年11月、在沖米軍幹部が「辺野古完成後も機能的に優れた普天間を維持したい」と発言している。この時、日本政府は「米政府の公式見解ではない」とごまかしたが、今回は米政府の公文書によるものだ。否定することはできない。
日米両政府は13年、改めて返還条件を整理、確認した。「代替施設では確保されない長い滑走路を持つ民間施設を緊急時に使用できるよう改善」がその一つだ。
日本政府は航空自衛隊築城(ついき)基地(福岡)の滑走路を2700bへ延長(工事中)し、普天間規模の滑走路を用意している。新田原基地(宮崎)は延長済みだ。
3000b級の民間空港では北九州空港が延長工事中。那覇、下地島(宮古島市)、長崎、大分の各空港に並ぶ。ほとんどが自衛隊が使用する特定空港に指定されている。政府は「(米軍使用の)法的枠組みは整っている」と平然と答えているが、米軍との共同使用を想定。米側に正式に伝えていないのは、地元自治体からの反発を想定し、密かに懐柔策を練っているということだ。

「海兵隊削減」のウソ
95年米兵の少女暴行事件に対する県民の怒りが日米政府を動かし、「基地負担軽減」策を示させた。ところが、「普天間返還」も基地機能強化へと逆行。もう一つの柱だった海兵隊削減も「まぼろし」に終わった。
普天間代替施設を辺野古沖V字滑走路案に決めた06年、在沖海兵隊司令部要員とその家族約17000人をグアムに移転すると公表。移転経費の6割、60・9億ドル(約7000億円)を日本が負担する条件だった。
その6年後の12年。米軍はキャンプ・シュワブの第4海兵連隊4000人を含む実戦部隊9000人の移転に切り替えた。ところが、この「米軍再編」案は海兵隊「フォース・デザイン2030」(25年10月改定)により、事実上白紙撤回。日本は移転経費3730億円を支出したにもかかわらず、グアムに移転した米軍は結局100人に過ぎなかった。
辺野古新基地自体、完成の見込みはない。軟弱地盤対策は遅々として進まず、政府が示す37年完成は、さらに10年以上延びると言われる。政府は「辺野古基地に移転する普天間飛行場の機能はオスプレイの運用のみ」(24年2月8日衆院予算委、木原防衛相)としているが、オスプレイは26年に製造中止。現在運用中のものの耐用年数を迎える50年代となれば姿を消す。仮に辺野古が完成しても、利用するオスプレイはいない。
辺野古の工事は7000億円を費やして17%程度しか進んでいない。総事業費は4兆円に膨れると想定される。自然破壊、地方自治破壊、地域・生活破壊をもたらす、ウソとごまかしで塗り固めた世紀の大悪行。断念するのに、遅すぎることはない。
「抑止力」のウソ
政府のウソとごまかしは、沖縄だけではない。
26予算案に約560億円が計上されている弾薬庫新増設。全国15か所、30棟で工事が行われる。最終的には130棟をつくる。65棟は選定を終えた。27年までに「即応性(すぐに使える量の弾薬)」確保、32年までに「十分な継戦能力」を完成させるとしている。総額2兆円。だがこれは、現行軍事3文書に基づく計画であり、更なる増設・増額が想定される。
ミサイルを全国に分散貯蔵するのは、「有事」の際の「生存性を高めるため」と防衛省は考えている。敵に狙われても破壊されず残る確率が高くなるという理屈だ。
防衛省は、住民に対しては「自衛隊の戦闘能力が相手に推察される」とし、長射程ミサイルが貯蔵されるかどうかに答えない。長射程ミサイルの貯蔵庫であれば、狙われる確率は一層高まる。住民対策上、明らかにしないのだ。
一方、長射程ミサイルの配備基地は明らかにした。陸上自衛隊の上富良野駐屯地(北海道)、富士駐屯地(静岡)、健軍駐屯地(熊本)、えびの駐屯地(宮崎)。12式地対艦誘導能力向上型(射程1000`b)が配備される。海上自衛隊では、米国製巡航ミサイル「トマホーク」(射程1600`b)を搭載するイージス艦の母港となる横須賀、舞鶴、呉、佐世保を公表している。
防衛省は「長射程ミサイルは抑止力を高めるため公表」としているが、弾薬庫は狙われてミサイル部隊が攻撃されないわけがない。
攻撃を躊躇(ちゅうちょ)させるほどの戦力=「抑止力」を求めれば、結局核兵器に行き着くのだ。

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「避難計画」のウソ
弾薬庫とミサイル部隊の配置は、もう一つ別のごまかしを明らかにする。ミサイルを実戦部隊に補給する経路は住民避難の経路と重なる。住民は軍隊によって逃げ道をふさがれる。
沖縄の避難計画は机上でもまったく成り立たない代物だ。特に先島諸島。住民・観光客12万人を避難させるのに6日間は必要とされる。攻撃が始まることを予想して、事前に避難することはできるのか。避難先の九州・山口は攻撃されないのかと次々と疑問がわく。
全国に分散配置した弾薬庫が攻撃目標とされる。まして、長射程ミサイルを配備した基地のある九州が無傷なはずはない。全国に配置されるミサイル部隊の周辺は戦場となる。日本列島に「安全」な場所はない。そもそも、住民の命・生活を犠牲にする強制避難などあってはならないのだ。
高市政権が加速する戦争国家づくりでは、市民を守ることは絶対にできない。この大ウソとごまかしを暴いていこう。軍事3文書の前倒し改定は、さらなる軍備増強・軍事費増額を進め、市民生活を破壊するものになる。 |
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