2023年09月22日 1789号

【DSAが初めて見た基地の島・沖縄(番外編)/―ジェラルド・ダルボンさんに聞く(2)―/民主主義的社会主義を求めるアメリカの若者】

 ここ5〜6年で急拡大したDSA(アメリカ民主主義的社会主義者)。沖縄を訪れたDSAのジェラルド・ダルボンさんに運動へのきっかけを聞いた。(7月27日。まとめは編集部)


Q DSA参加のきっかけは?

 私にとって、それは明らかにバーニー・サンダースの存在でした。

 2016年、民主党大統領候補の予備選で、サンダースのキャンペーンに関わりました。学生ローンの帳消し、医療保険拡充など、これまでのアメリカにはない政策を提唱していて、それは素晴らしいものでした。19年にも彼のキャンペーンに関わり、最終的にDSAに参加しました。アメリカの抜き差しならない現状がそうさせたのです。

 若者にとって、家賃が上がるなどすべてが困難な状況に見えます。将来に何が起こるかわからない。気候変動もどのような影響を与えるかわかりません。

 ところが、彼らを代表する政党が存在しません。若者は、こんな社会をなんとかしたいと考えています。

 私は10歳の時にルーマニアから移住してきました。それ以来、アメリカは世界の覇権国としてさまざまな戦争を引き起こすのを見てきました。これらすべてのことが、何か行動を起こしたいと私に思わせる要因になりました。

Q DSAは若者に、どのように呼びかけていますか?

 バーニー・サンダースが、異なる政治体制を実現し社会を変えていける可能性があることを、多くの人々に初めて示しました。この事実に、大きな展望があると思います。

 アメリカの若者は、学生ローンや医療、家賃、気候変動など、いまの政治体制では解決されないすべての問題に非常にストレスを感じています。だから政治にとても関心が強く、そこから目を反らすことはありません。

 彼らは、08年の景気後退を経験し、イラクやアフガニスタンとの戦争を目撃し、これまで続いてきた戦争も目撃してきましたが、その一方、彼らにとって必要なものは欠けたままでした。

 だから私たちは、若者を運動へ導くために、何か特別な取り組みを行う必要はないのです。

 私たちは、大学を中心としたYDSA(青年DSA)で若者を組織しています。これは大学の学生を組織するのに確実に役立ちます。

 DSAの政策はよりラディカルなので、より情熱を持って活動しています。DSAは社会民主主義的な既存政党ではなく、若者が情熱を注ぐことでさらに成長していくことができる、よりラディカルな社会主義政党です。

 人びとは当たり前のように役割を持ち、リーダーになり、組織に貢献していると感じることができます。

 DSAは16年の大統領候補サンダース予備選キャンペーン中で成長し、19年の2回目のキャンペーンでは、私も含め非常に多くの人びとが一気に参加しました。

 しかし、アメリカの人びとは政治的な党派の中で組織化することにあまり慣れていません。ここが課題です。  (続)

  *  *  *

 バーニー・サンダースが掲げたメディケア・フォー・オール(すべての人のための医療保険制度)やカレッジ・フォー・オール(すべての人に開かれた大学)、グリーン・ニューディール(環境保護のための変革)をはじめとした社会主義的な政策は、アメリカの若者を中心に大きな支持を集め、「バーニー旋風」を巻き起こした。週刊MDSの以下の記事を参照。

◆1417号(2016年2月26日発行)「サンダース支持急拡大の背景 アメリカ大統領選指名争い 新自由主義・不平等への怒り

◆1623号(2020年5月1日発行)「バーニー・サンダースの大統領選候補撤退 DSAはコロナと闘い続ける

 DSAの政策については、MDS理論政策委員会発行の翻訳資料「グローバル・トレンド」No・5(19年8月)〜No・8(19年10月)を参照

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