2024年11月15日 1846号
【訪問介護報酬引き下げ撤回し国費支出を/ギリギリの小規模事業所/尊厳ある生活を保障させる集い】
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10月27日、大阪市内で「訪問介護報酬引き下げを撤回させ、尊厳ある生活を保障させる集い」が開催された。
主催した「尊厳ある暮らしを連絡会」の手塚たかひろさんが、介護業界の危機的状況を基調報告した。今年は8月までで介護事業所が114件倒産しており過去最多。そのうちの9割が資本金1千万円以下の小規模事業所だ。ヘルパーの有効求人倍率は14倍(2023年度)と人手不足は深刻、人を増やそうにも賃上げは他産業に追いつかない。
西宮市のデイサービスセンター代表を務める畑京子さんは、介護職場アンケートの結果を発表した。市内174の事業所にファクスを送り、約30か所から現状の早急な改善を訴える回答があった。「小規模事業所は基本報酬が低かったのにさらに引き下げられ、処遇加算はついたがそれは職員へ支給するものなので経営収入は減ってしまう。煩雑な書類の提出も負担になっている」「賃金を上げろ、と国は言うが報酬改定で単価が下がった。会社からの持ち出しで賃上げをした」「改正が多く、持続的な賃上げの計画が組めない。基本的な介護報酬の引き上げを要望します」「少人数なのでケアに出ていると事務処理ができず、事務員を雇う余裕もない」。このアンケート結果は助成金などの要望書とともに10月17日、西宮市に提出されている。
枚方市でも10月から、介護報酬引き下げ撤回を求める署名とともにアンケートを事業所から募っており、報酬改定の影響で減収となっている傾向は明白だ。12月の厚生労働省への署名提出までに、さらに協力を求めていく。
大阪市の小規模事業所では、報酬改定の影響で1か月につき約2%も減収になった。そこで働く介護従事者は「利用者からとる処遇改善加算は中止し、国の責任で処遇改善していくべきだ」とも訴えた。
多様な立場から交流
箕面市の介護施設で働いていた渋谷国彦さんは、労働環境改善を求めた組合活動を経営者にうとまれ、不当な雇い止めをされて撤回を求め闘争中だ。35人の利用者がいる施設で職員は現在わずか5人。利用者も同僚も渋谷さんの復帰を願っている(6面に関連記事)。
ズームでの2人も含め27人が参加し、こうした集会が初めて、という参加者も。現場でケアをする介護士、事務も行うケアマネージャー、事業所経営者、利用者の家族といった多様な視点からの情報の共有と交流が行われた集会となった。
手塚さんは「130兆円を超える社会保障費の中で介護に使われている国費は約3兆円と多くない。軍事費や大企業の内部留保への課税など、使い方の割り振りで介護の改善はできるはず」と提案し締めくくった。
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