2024年12月06日 1849号

【1849号主張/石破政権の悪政とめる/命脅かす保険証廃止許すな】

民意も医療機関も反対

 政府は、12月2日から現行の健康保険証の新規発行停止を強行する。マイナンバーカードに保険証を一本化し、カードの取得と利用を事実上強制するものだ。

 マイナ保険証を持たない人には保険証の有効期限後に資格確認書を発行し対応すると言うが、「当分の間」であり近い将来にも保険医療を保障されない恐れがある。カード取得を任意とする番号法違反にとどまらず、国民皆保険制度を揺るがし生存権を否定するものだ。

 しかし、民意も医療機関も保険証存続を求めている。全国保険医団体連合会の調査では、回答医療機関の約7割が5月以降もマイナ保険証で資格情報が確認できないトラブルがあり、約8割が「保険証を残すべき」と回答している。全国地方新聞18社の世論調査(8/9〜8/18)でも、保険証を残すべきとの回答が8割を占めた。

 マイナ保険証は、トラブル以外にも停電では使えず、災害時には無力だ(本紙1848号8面参照)。保険証廃止は撤回しかない。

資本の強い意思

 政府は、資本の要請に応え、マイナ保険証を契機に医療DX(デジタルトランスフォーメーション)を加速させている。カードに紐付けられた膨大な個人の医療健康情報(診療・投薬履歴等)を生涯にわたり管理、医療費などの削減や医療・製薬をはじめ巨大企業の利潤拡大に使うことを狙う。

 石破首相が自民党総裁選では「廃止の先送り」検討を表明していたのに主張を変えたのもそのためだ。

 骨太方針2024では、経済成長をはかるために全分野にわたるDXの推進が掲げられ、石破政権の「総合経済対策」(11/22閣議決定)でも「企業の稼ぐ力の向上へ」「デジタル化推進」を打ち出している。全市民にカードを所持・利用させ、銀行口座と国家資格のひも付け管理に加え、運転免許証や外国人の在留カードとの一体化を進める。さらに国・自治体・民間で個人情報を簡単に共有できる仕組みをつくろうとしている。それは資本のもうけと市民監視に利用される。

地域から廃止を阻む

 政府は、マイナ保険証がなくても「これまで通りの医療をあなたに」と広報を始めた。強引なマイナ保険証義務化は、批判の広がりに追いつめられている。

 少なくとも213の自治体議会が保険証存続等を求める225件の意見書を採択。立憲民主党は保険証廃止延期法案を提出した(11/12)。矛盾は深まっている。

 12月以降も現行保険証利用で何の問題もなく、民意は保険証廃止反対にある。地域から自治体や議会に対し、意見書を求め、マイナ保険証所持の有無にかかわらず資格確認書の全員発行、利用登録解除の周知徹底などを要請しよう。マイナ保険証への一本化強行阻止は可能だ。

  (11月24日)
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