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  • 提言 コロナ危機を克服し社会を変える18の政策(2020年6月)

命と人権と平和を保障し 生活に民主主義を根づかせるコロナ危機を克服し社会を変える18の政策


2020年6月(更新)  民主主義的社会主義運動(MDS)

もくじ

  • はじめに
  • 1.憲法
  • 2.平和と核軍縮
  • 3.日米安保条約
  • 4.「過去清算」と植民地主義の克服
  • 5.課税と再分配
  • 6.環境保護とエネルギー
  • 7.ジェンダー平等
  • 8.保育
  • 9.教育
  • 10.若者への支援
  • 11.雇用と労働
  • 12.協同組合
  • 13.生活保護の改革
  • 14.医療制度の改革
  • 15.介護支援制度の改革
  • 16.年金の改革
  • 17.地方自治
  • 18.グローバル資本主義への規制
  • はじめに

    ―コロナ危機に立ち向かい、新たな社会をめざす―


    私たちの生きる21世紀の世界社会は、くり返される経済危機、富の配分の著しい不平等、雇用と暮らしの不安定化、地球環境の破壊、原発事故などの国境を越えるリスクの頻発、戦争や内戦による避難民と難民の増大、弱者やマイノリティへの差別と憎悪の拡がりに見舞われています。大多数の人びとの命と暮らしよりも大企業の利潤や富裕層の富を優先するグローバルな資本主義を野放しにしておくならば、人類と地球環境は存続できなくなってしまいます。

    そのことは、2020年に世界中を危機に陥れ多くの尊い命を奪った新型コロナウイルスの蔓延により、あらためて立証されました。この〈コロナ危機〉は単なる自然現象ではなく、公的な医療の貧弱さ、社会保障制度の不備、大企業の救済を優先し人びとの命と暮らしを顧みない政府の政策、そして不安定な雇用と社会的不平等の拡大という政治的・社会的な要因によって生み出され、深刻化しました。しかも、これらの要因はみな、今日のグローバルな資本主義によって作りだされたものです。社会とその制度がコロナ危機以前の「日常生活」に単に復帰するというのでは、人類はもはや生き延びることができません。なぜなら、そうした「日常生活」は、不十分な医療体制、やむなく休業しても補償の得られない仕事や雇用、借金をしなければ通えない大学、安全の確保されない保育といった脆く劣悪な環境にとり巻かれていたことを、コロナ危機が明らかにしたからです。

    この危機を利用して自民党などの保守勢力は、「緊急事態」条項の憲法への挿入をはじめとする改憲の動きを強めるでありましょう。政府と資本はコロナ危機を口実にしながら、個人情報の統制と監視を強めようとするでしょう。

    緊急事態宣言ではなく、暮らしの安全網のつくり直しを

    しかし、思い起こしてください。コロナ危機の最中に政府が出した「緊急事態宣言」は、私たちから仕事と行動の自由を奪うだけで、それへの補償も検査・医療措置もともなってはおらず、感染の拡大防止と治療の充実には何の効果も発揮しませんでした。暮らしの安全網(セーフティネット)を日ごろから整備しておくどころか、公的な医療と社会保障を縮小する政策をとっておきながら、ある日に突然、行政府の権限を肥大化させたとしても、自由と権利を制限することにしかつながらないのです。個々人の行動や移動に関する情報を行政がいかに精密に掌握し個々人に通知したとしても、感染予防と治療がいまのように貧弱なままであれば、国家による個人への監視が強められるだけに終わります。

    民主主義と自由は、晴天の日にしか享受することのできない恵沢品ではありませんし、それらがいったん失われるなら取り戻すのは困難になることを、世界の歴史は教えています。危機のなかで生じた民主主義と自由への制約や侵害を、私たちは「例外的な状況」だからといって甘受してはなりません。

    民主主義的社会主義運動(MDS)はコロナ危機のなかで、安倍政権による緊急事態宣言の撤回、検査態勢と医療体制の整備、生活への補償と保障を訴え、闘ってきました。コロナ危機の被害は、いまの社会の不平等な構造に沿って波及し、その構造を極限にまで先鋭化させています。在宅勤務(テレワーク)ができずにウイルス感染のリスクにさらされる労働者、子育てや介護のために仕事を短縮することを余儀なくされた人びと、営業自粛要請によって仕事と収入が絶たれる人びとは、もともと不平等であった社会構造のせいで不当な犠牲を不均等にこうむっています。

    民主主義的社会主義へ

    MDSはこうした不平等を克服するための闘いの先に、民主主義的社会主義への見通しを置いています。なぜなら、日本に限らずどの国においても必要とされているのは、金儲けではなく万人の命と権利を優先する新しい社会であるからです。暮らしの安全網をもっと確かなものへとつくり直すことを、世界中の99%の人びとが欲しています。資本主義社会を根本から民主主義的に変革していくための政策と取り組みが、いまこそ切実に、緊急に求められているのです。まずは、製薬資本、医療機器資本を国有化し、必要な薬と医療機器を安定的に供給することのできる体制をつくらなければなりません。大病院を国有化・公営化し、必要な医療サービスをすべての人に提供しなければなりません。

    MDSが以下に掲げる18項目の政策は、現在のものとは異なる社会を実現していくための道筋の概略を示したものであり、MDSが21世紀に取り組んできた運動の諸目標を表現するものです。「社会主義社会を実現するなどというのは絵空事だ」と思われる方もおられるかもしれません。しかし、グローバル資本主義の中心地とも言うべき米国では、「民主主義的社会主義者」を名乗る民主党の上院議員であるバーニー・サンダースが、全住民の加入する単一の公的医療保険の創設(メディケア・フォー・オール)、公立大学の無償化と教育ローンの帳消し(カレッジ・フォー・オール)、野心的な環境保護政策(グリーン・ニューディール)を、金融取引や富裕層への課税によって実施すると訴え、2020年の大統領選挙を控えた民主党内の予備選で広い支持を集めました。予備選においてサンダースが掲げた政策とそれへの支持の拡がりは、「米国民主主義的社会主義者(DSA)」などの草の根の組織と運動によって支えられているものです。そして米国では、40歳以下の若者たちの約6割が資本主義に疑問をいだき、社会主義の考え方に共感を寄せるようになっています。

    以下の18項目の政策は、社会主義社会をただちに実現するものではありません。

    しかし、2001年の米国での「同時多発テロ」とその後のイラク戦争、2008年のリーマン・ショック、2011年の東日本大震災と福島第1原発の事故、そして2020年のコロナ危機という、21世紀における幾多のグローバルな苦難の経験をかえりみるなら、日本社会と世界社会のいまのあり方を根本で支配している資本主義をそのまま存続させてよいはずがありません。これほど多くの人類的・地球的な危機を何度も引き起こしてきた現状の資本主義の仕組みを、コロナ危機のあとでもなおそのまま維持するという選択肢は、もはや存在しないのです。

    以下の18項目の政策を1つひとつ実施していくことにより、利潤追求と市場と投機の原理に振り回されるのではなく私たち自身が進路を決定しうるような生活の空間を拡大することができます。そして、そうした民主主義的な生活の空間こそが民主主義的社会主義を準備していくのだと、私たちは考えています。

    私たちのめざす民主主義的社会主義の構想を述べたMDSの『綱領』をぜひお読みください。そして、私たちMDSの運動へのご参加とご協力をお願いします。

    1.憲法:自民党による憲法改悪の企みを阻止し、憲法の3大原理を実現する
    1‐1)自衛隊の明記、「緊急事態」条項の導入、選挙区の合区解消と地方自治の破壊、国益主導型教育の導入という「改憲4項目」に代表される、自民党による憲法改悪の企みを阻止します。
    1‐2)「初めに憲法改正ありき」で、資金力の大きい政党・勢力に有利な、現行の憲法改正国民投票法を廃止します。
    1‐3)「国民主権」「平和主義」「基本的人権の尊重」という憲法の3大原理を各分野でさらに具体化する法律を制定・施行し、個人の尊重(憲法13条)に立脚する平等な社会をつくります。
    2.平和と核軍縮:軍隊に頼らない平和を実現する
    安倍政権は、憲法9条を改定していつでもどこへでも海外派兵をして戦争をする国づくりをめざしています。史上最大の軍事費を確保し最新鋭の侵略的兵器を保持し、日本版海兵隊をつくり、沖縄、南西諸島の軍事化を進めています。アフリカのジブチに恒久基地を確保し、対イランを名目に中東への派兵を続けています。朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)と韓国への嫌悪を煽るキャンペーンを展開し、朝鮮半島の非核化を妨害しています。原発が生み出すプルトニウムを利用して核武装をねらっています。

    日本は、平和憲法を活かして、感染症拡大抑止のための国際協力を阻害するアジアでの政治的・軍事的緊張と中東・アフリカでの武力紛争や内戦を止めることにこそ貢献しなければなりません。世界の非核化と非軍事化を積極的に推進しなければなりません。
    2‐1)戦争法を廃止し海外派兵を中止します。
    ①世界中にいつでもどこへでも派兵する戦争国家づくりをねらう戦争法を廃止します。
    ②アフリカ・ジブチにある自衛隊基地を撤収します。
    ③中東などに派兵している自衛隊部隊をすべて撤退させます。
    ④自衛隊の実戦軍事訓練をすべて中止します。
    ⑤海外での自衛隊の軍事訓練、米軍を含むすべての外国軍との合同軍事演習を中止します。
    ⑥自衛隊合憲の世論形成をねらった災害救助をやめ、自衛隊とは別組織である災害時の救助に特化した専門的集団を国土交通省や環境省などの管轄下に創設します。
    2‐2)沖縄・南西諸島の軍事基地化を中止します。
    ①沖縄・辺野古新基地の建設を中止し、自然保護を最優先にした環境の回復を進めます。
    ②馬毛島、奄美大島、沖縄島、宮古島、石垣島、与那国島など南西諸島の軍事基地化を中止します。
    2‐3)日韓、アジアの市民の連帯で朝鮮半島非核化・北東アジア非核化地帯へと前進します。
    ①米国、韓国、朝鮮政府に朝鮮半島非核化交渉の即時再開を要求します。
    ②韓国の反基地運動と連帯し、日韓市民の国際連帯で朝鮮半島、日本列島のすべての基地撤去を実現します。
    ③反韓国、反朝鮮の排外主義キャンペーンを許さず、朝鮮との国交実現を要求します。
    ④東アジア各国が平和に共存するための東アジア平和保障機構を創設し、平和・軍縮交渉を進めます。
    2‐4)日本の核武装を許さず、全面的軍縮から非武装中立の日本をめざします。
    ①軍事費を大幅に削減し、福祉や教育、医療に回します。海外派兵に必要な兵器の購入を禁止します。
    ②日本の独自核武装を許さず、核兵器禁止条約に加入します。
    3.日米安保条約:在日・在沖米軍基地をなくす
    3‐1)日米安全保障条約および日米地位協定を破棄し、日米平和友好条約を締結します。
    3‐2)それに向けて、まず在日・在沖米軍と兵士および軍属に国内法の適用を受けるよう日米地位協定を改定します。
    3‐3)在日・在沖米軍の国内におけるすべての訓練・演習を禁止します。日米合同軍事演習を中止し、いかなる国との軍事演習も行ないません。
    3‐4)在日・在沖米軍基地を撤去し、辺野古新基地をはじめとする新たな軍事施設の建設は行ないません。また、米軍基地撤去後の跡地に自衛隊施設の建設はしません。
    4.「過去清算」と植民地主義の克服:人権侵害と暴力のないアジアをめざす
    日本はアジア太平洋戦争に敗北しましたが、過去の植民地支配の歴史を顧みることはしませんでした。しかし、冷戦終了後の1990年代にアジア各国から日本の戦争責任・植民地支配責任を問う声が大きく沸き起こり、これに応えようと日本国内においても「過去清算」(戦後補償)をめざすさまざまな市民運動が展開されました。「慰安婦」問題は、「過去清算」の運動から戦時性暴力・女性の人権の課題へと運動が発展していきました。しかし現在においては、差別排外主義を支える歴史修正主義が台頭して、過去の植民地支配の歴史を否定し賛美する動きが活発化しています。司法さえも朝鮮学校の無償化からの排除を容認するような、「官製ヘイト」が横行するようになっています。「過去清算」と植民地主義克服の取り組みをあらためて着実に進めていかなければなりません。
    4‐1)強制動員被害者に対する補償を命じた韓国大法院判決(2018年10月)にもとづく、1日も早い被害者の権利回復を実現します。
    4‐2)日本の植民地支配を「象徴」する韓国人軍人軍属やアイヌ・琉球の遺骨問題の解決をめざします。
    4‐3)日本の侵略戦争と植民地支配を告発する「ノー!ハプサ」(韓国人靖国合祀取消訴訟)、「ヤスクニ・キャンドル行動」などの取り組みを強化します。
    4‐4)朝鮮学校への高校無償化・幼保無償化適用を実現します。
    5.課税と再分配:消費税を廃止し、大企業と富裕層への課税を強め、格差を是正する
    所得が低いほど負担が重くなる消費税を廃止し、私たちが必要とする政策を実現するうえで不可欠な財源を、大企業と富裕層への課税の強化によって調達することにより、格差を是正します。国債の発行による財源調達では、格差の是正はできません。また、日銀による国債の買取はコロナ危機のような深刻な事態の際にのみ限定されるべきです。2008年のリーマン・ショックにおいて世界中で見られたように、危機のなかで大企業がこうむった損失を国債発行によって補てんし、その国債を償還するために緊縮財政や不公平税制でもって99%の人びとが危機のツケを払わされるようなことは、二度とあってはなりません。
    5‐1)不公平税制を是正することで、税収を以下のように増やします(「不公平な税制をただす会」試算)。

    所得税の見直しによる増収  3.8兆円
    法人税の見直しによる増収  23.5兆円
    住民税の見直しによる増収  10.7兆円
    5‐2)富裕税を創設します。
    富裕層による株の配当金や売買収益には所得税の課税強化で対処できますが、自社株買いなどによる株価上昇による資産増には課税できません。これに対処するために、富裕税を導入します。たとえば、マイクロ・ソフト社のビル・ゲイツの2018年時点での資産は970億ドルですが、1982年にまでさかのぼる10%の富裕税課税により、この資産を43億ドルへと減らすことができます。

    『週刊ダイヤモンド』(2020年2月8日)が示した計算結果によれば、2017年の日本における金融資産1億円以上の富裕層は127万世帯(全世帯の2%)であり、その保有資産の総額は300兆円(日本の個人資産全体の20%)にのぼっています。これに5%の課税をすれば、毎年15兆円の財源を確保することができます。
    5‐3)金融取引税を創設します。
    株、債券、デリィバティブ取引に課税することで投機活動を抑制し、大きな財源を手に入れることができます。米国民主党の上院議員であるバーニー・サンダースは、株の取引に0.5%、債券の取引に0.1%。デリバティブ取引に0.005%の低率の税を課すことにより、10年で2兆4000億ドルを調達できると試算しています。
    5‐4)軍事費を大幅に削減します。
    侵略兵器と高額兵器の導入をただちにやめ、沖縄の辺野古における新しい基地の建設を中止します。
    6.環境保護とエネルギー:環境保護と社会的平等をともに実現する
    化石燃料と原子力とに依存してきた日本のエネルギー政策は、大企業を潤す一方で、社会的弱者と地方とを犠牲にしてきました。そのことは、原発の立地点が産業に乏しい地方に集中しているという事実、そしていったん原発事故が起きれば避難を余儀なくされ補償も生活保障もなされないという福島の現実から明らかです。自動車による移動を優先し、エネルギー効率の高い(電気)鉄道をとくに地方において廃止していく交通政策は、社会的弱者から移動の手段を奪い、地方の衰退に拍車をかけています。利潤の追求を最優先するエネルギー政策は、日本のみならず世界中で、環境破壊と格差を生んでいます。21世紀に必要とされているのは、地球環境・地方の生活環境を保全することと社会的な平等の実現とを結びつける環境保護・エネルギー政策にほかなりません。
    6‐1)日本と世界から原発をなくします。
    ①原発の再稼働と原発の新設をすべて中止し、運用中のすべての原発を即座に停止し、全原子炉を廃炉にします。/dd>
    ②核燃料サイクルからただちに撤退し、原発輸出を中止します。税金などを原資とするODA(政府開発援助)を原発輸出などに使わせません。/dd>
    ③政府の責任で福島第1原発事故を収束させ、放射能汚染水と放射性廃棄物の安全な保管・処分を実現します。/dd>
    ④原発事故のすべての被災者の生活と健康を東京電力と政府の責任で保障させます。
    6‐2)発電の100%を再生可能エネルギーにします。
    ①投資・研究開発・活用への政府の支援と省エネにより、2030年までに電力の50%を再生可能エネルギーで賄い、この比率を2050年までに100%にします。
    ②再生可能エネルギーや環境保全型農業の分野において、協同組合を活用しながら雇用を拡大します。
    6‐3)自動車依存の交通体系から脱却し、公的な(電気)鉄道網を再建し拡大します。
    ①自動車優先の道路整備と自家用車依存の交通体系から脱却し、歩行者・自転車優先の道路整備と低料金の公共交通手段の充実を進めます。
    ②リニア新幹線に代えて、地方の公共鉄道網を再建し拡充します。整備新幹線の建設計画は、並行在来線の存続と運行を確保することを前提に、客観的な需要予測と沿線地域の人口動態(いわゆる「ストロー効果」の把握を含む)とにもとづいて見直します。
    6‐4)海外からの資源採掘と搾取に依存せず、途上国での廃棄物投棄や環境破壊から絶縁する産業と社会をつくります。
    ①自動車産業をはじめとする化石燃料依存産業の利益を保護し、自然環境と農業と人びとの健康を破壊する、TPP(環太平洋経済連携協定)に代表される自由貿易協定を破棄します。
    ②多国籍企業による海外での廃棄物投棄を規制するための国際的な取り組みを進めます。
    ③日本のODAはいまや、国益最優先と軍事化をめざすとともに、日本の大企業の意向に沿いながら環境破壊と被援助国の不安定化をもたらしています。したがって、現行のODAを廃止し、それに代えて、透明性の高い民主主義的な援助の仕組みを設けます。
    7.ジェンダー平等:個々人が尊重される社会をつくる
    7‐1)ジェンダー平等にもとづく社会と政治
    ①政策・意思決定分野への男女の平等な参加を進めます。
    ・「政治分野における男女共同参画推進法」を実効性のあるものにします。
    ・国政・地方議会の選挙では、立候補者の数を男女均等にすることをめざします。
    ・クオータ(割り当て)制度の導入により、意思決定の場への女性の参加を向上させます。
    ②民法改正により選択的夫婦別姓を導入します。
    ③国連女性差別撤廃条約の「選択議定書」をただちに批准し、女性差別撤廃委員会への通報と救済申し立ての権利を保障します。
    7‐2)仕事と暮らしにおけるジェンダー平等
    ①同一価値労働同一賃金を実現し、職務評価にもとづく賃金制度を構築します。
    ②ILO(国際労働機関)の「仕事の世界における暴力とハラスメントの撤廃に関する条約」の批准を進めます。
    ③包括的セクシュアル・ハラスメント禁止法を制定します。
    ④税制の面で女性の働き方を狭めている「配偶者控除」と「第三号被保険者制度」を、基礎控除の引き上げと合わせて見直します。
    ⑤年金や生活保護等の給付は、コロナ危機に際して支給された1人10万円の特別給付金のように世帯単位で合算して世帯主に支給するのではなく、個人単位での支給が可能となるようにします。
    ⑥女性が働きながら安心して妊娠、出産できるよう、諸制度を改善します。男女ともに仕事と家庭責任を両立できる働き方をめざす環境と制度を実現します。
    7‐3)性暴力の根絶
    ①刑法の性犯罪規定にある「暴行・脅迫」要件を撤廃し、「同意なき性交」を犯罪とする法改正を実現します。
    ②性暴力、性犯罪の被害者への救済と支援を強化します。コロナ危機の最中に世界中で多発したような家庭内暴力(DV)に対処するべく、内閣府が設置している相談体制を拡充し、自治体の相談窓口の整備を進めます。
    ③旧日本軍の性奴隷(「慰安婦」)に対する謝罪と賠償を実現します。
    7‐4)リプロダクティブ・ヘルス/ライツの確立
    性と生殖に関する健康と権利を保障するための法制度の整備を進めます。
    7‐5)多様な性のあり方を認める社会の実現
    ①性指向・性自認(SOGI)に関する差別を撤廃し、性的マイノリティの権利を保障します。
    ②「LGBT差別解消法」の制定を進めます。
    ③同性婚を制度化します。
    8.保育:子どもの権利を守る保育で、安心して子育てできる社会を
    安倍政権は、待機児童解消対策をテコとして、保育所面積基準や保育士配置基準などの規制緩和から保育の市場化を推進しています。そのもとで、公立保育所の統廃合や民営化、株式会社保育園の参入、小規模保育や企業主導型保育が促進され、子どもの人権をかえりみない「詰め込み保育」が横行しています。また、「幼児教育・保育の無償化」は原則3歳以上で、子どもの人権保障の視点はありません。安倍政権の保育政策は、子どもを儲けの対象にし、子どもの命を危機にさらすものです。

    子ども子育て支援は、憲法と子どもの権利条約にもとづき、子どもの人権保障を目的に良質な保育を実現することが必要です。死なせなければ良いという程度の保育の質であってはならず、劣悪な認可外施設を選択しなくてもすむよう保育の量も確保されねばなりません。

    「待機児童解消」「幼児教育・保育の完全無償化」に向け、公立保育所の民営化や保育基準の規制緩和をやめ、公立を含む認可保育所を大幅に増設し、保育士が安定的に働けるよう抜本的な処遇改善を行なうことなどを、国と自治体の責任で実行します。
    8‐1)保育水準を確保し待機児童を解消します。
    ①公立保育所を中心とした認可保育所を大幅に増設し、無認可施設や企業主導型保育所などの子どもを含めた待機児童を解消します。
    ②障がい児保育、病児保育、一時保育などの体制整備を行ないます。
    8‐2)「幼児教育・保育の無償化」は、年齢や所得制限を設けず給食費なども含めた完全無償化とし、消費税を財源とせずに実現します。
    ①国の責任のもと、保育基準を引き上げるとともに株式会社参入をやめさせ、子どもの権利が守られる保育環境をつくります。
    ②保育士の労働条件を改善し、保育士配置基準を改善するとともに、保育士等の給与を当面月10万円引き上げます。
    9.教育:だれもが教育の機会を保障される社会へ
    「教育の機会均等」の原則を初等・中等教育から高等教育にいたる全プロセスに適用し、多くの若者たちが数百万円の借金を背負うことなく大学を卒業し社会人になっていくことを保障します。
    9‐1)初等・中等教育の完全無償化を実現し、教職員数の拡充と1学級あたりの生徒数の削減(20人学級の実現)、教室環境の整備による教育条件の改善を進めます。 
    9‐2)国際人権規約「中等・高等教育の斬進的無償化」条項に沿って、高等教育費の私的負担を抜本的に改め、公的支出を5年間で国際的水準に到達するよう教育政策の根本的な転換を進めます。
    9‐3)教育内容の普遍性と質の向上を図るため、政府から独立したカリキュラム立案機関を設置し、教育への資本の参入を止めます。
    9‐4)当面の政策として、高等教育の完全無償化に向けた工程表を立案し、これに沿って無償化を進めます。
    ①コロナ危機への緊急対策として、大学の学費の免除、学生への生活資金の給付、貸与型奨学金の一律返還免除を進めます。そのため、国公立大学への交付金・私学助成を拡充します。
    ②「給付型奨学金」を拡充し、「貸与型奨学金」を給付型へ移行させます。
    ③「貸与型奨学金」返還制度の制度設計を変更し、返還減免制度の創設によって、10年で償却します。
    ④「就職氷河期世代」の「奨学金債務」の償却を最優先で進めます。
    10.若者への支援:すべての若者に希望ある暮らしを
    10‐1)「就職氷河期世代」およびその後の若者世代が社会の構成員として希望のある暮らしを送ることができるように、若者手当を創設し、月額5万円を18歳から39歳までの人びとに支給して、住宅、就労、結婚、子育てを支援します。
    10‐2)公共職業安定所の職員を大幅に増やし、同一の相談員が一貫して相談に応じる個人相談員制を導入して、若者の就労と社会参加を支援します。
    10‐3)児童虐待をこうむった若者への医療、就労などの支援を拡充します。
    10‐4)予期せず10代で妊娠した子どもたちへの支援を行ないます。
    11.雇用と労働:労働者は使い捨て商品ではない
    11‐1)コロナ危機のなかでも必要不可欠な分野で働く人びとの健康と尊厳を守ります。
    ①コロナ危機は、どのような仕事が社会の維持にとって必要不可欠であるかを明らかにしました。それは、医療、介護、教育、清掃、農業、小売業と輸送業であり、私たちが基本的な生活を送るうえで欠かせない分野の仕事です。これらの仕事の多くが女性によって担われていますが、彼女たちはその労働のもつ社会的な重要性に比してわずかな報酬しか受けていません。この分野の労働者の賃金を増額し、危険手当を新設し、健康を維持できる人員補充をただちに実行しなければなりません。
    ②感染拡大の状況下においても働きつづけなければならず、労働に際して他の人と接することになる、もしくはウイルス感染のリスクの高い労働者に対して、使用者は万全の感染防止措置を徹底しなければなりません。
    ③労働者は、安全が確保されない職場での労働を拒否する権利を行使できます。
    ④時間短縮・休業に対して、賃金の100%を国家財政から支給します。
    ⑤コロナ危機を理由にしたいかなる解雇も禁止します。
    ⑥困難をかかえる中小企業に対する借金返済の延期、家賃支払いの凍結、売上減少に対する直接的支援を国家財政によって行ないます。
    11‐2) 労働者の権利を守り拡大する闘いを前進させます。
    ① 労働時間は1日8時間、週40時間以内とし、原則として残業を認めません。
    ②雇用形態、性、国籍の違いによらず同一価値労働同一賃金の原則を適用します。
    ③「ふつうの暮らし」「あたりまえの生活」に必要な費用(25歳男性、賃貸居住で試算)は、日本のどの地域においても税・保険料込みで月額約22万~24万円です。誰もがこの賃金を確保するため最低賃金は全国一律1時間1500円以上とします。
    ④職場のパワハラ・セクハラなどあらゆるハラスメントを根絶します。
    ⑤「高度プロフェッショナル制度」「裁量労働制」を廃止します。
    ⑥「解雇の金銭解決制度」制定を許さない闘いを強化します。
    ⑦雇用契約は無期雇用を原則とし、労働条件は就労先正社員と同一とします。
    ⑧労働法適用を免れるフリーランスや個人請負などの拡大を許しません。
    ⑨プラットホームワーカー(ウーバーイーツなど)の労働者としての権利確立、労働条件向上の闘いを作り出します。
    11‐3)派遣法を撤廃させ、偽装請負を根絶し、直接雇用の原則を貫徹させます。
    11‐4)移住労働者に奴隷労働を強いている「技能実習制度」を廃止します。
    11‐5)民主的な地域ユニオンを建設強化します。
    11‐6)労働者の権利を守り拡大する日本および世界の労働組合との共闘を拡大します。
    12.協同組合:労働者の意思決定が貫かれた民主的な協同組合企業を
    12‐1)社会的に有用な商品やサービスを過不足なく誠実に適正な価格で提供します。
    12‐2)事業に従事するすべての労働者が討議や意思決定に参加し、事業を継続発展させ、新たな仕事と雇用をつくり出します。
    12‐3)すべての企業で感染症予防策をはじめとする労働安全衛生措置を実行し、労働者と顧客(利用者)、その家族と地域社会の安全と健康を守る事業体をつくります。そのために必要な物的・財政的支援を、自治体と政府に要求します。
    12‐4)協同組合企業間の交流と協力を推進し、人的資源の育成やネットワークを構築します。
    12‐5)協同組合のネットワークの拡大をとおして、競争と効率よりも社会参加と相互扶助を重視する社会的連帯経済を実践し、その定着と発展をめざします。
    13.生活保護の改革:〈貧困からの自由〉は、権利である
    生活保護は、「最後のセーフティネット」と呼ばれながらも、それの捕捉率は2~3割にとどまっています。つまり、生活が苦しいにもかかわらず、受給の要件が厳しすぎるせいで、あるいは後ろめたさを感じて、生活保護を受けていない多くの人びとがいるのです。生活保護は、現状のように「不正受給の防止」を優先するのではなく、7~8割にのぼる給付漏れを防ぐよう運用しなければなりません。ところが、生活保護基準の額は2004年以降に相次いで引き下げられました。そのため、受給者の生活水準がいっそう低下していくとともに、保護を受けなければ生活が立ちゆかないにもかかわらず所得が保護基準額を上回ってしまう人びとがいます。生活保護基準は、最低賃金の額、各種社会保険料や保育料の減免基準、住民税の非課税基準とも連動しているため、保護基準が引き下げられることにより、賃金上昇が抑制され、数多くの減免措置から除外される人が増えていく恐れがあります。そもそも生活保護は、憲法25条のいう「健康で文化的な最低限度の生活」を営む権利(生存権)を国の責任により保障するための制度であり、国の財政状況によって生存権が切り詰められることなどあってはなりません。生活保護を必要とするすべての人が、負担や後ろめたさを感じることなく保護を利用できるようにするために、生活保護法の運用と法律そのものを改める必要があります。そして、先進国のなかでも最悪の水準にある子どもの貧困を克服しなければなりません。
    13‐1)稼働能力を有する人であっても就労の場を確保しがたい場合や給与が最低生活費に満たない場合には、生活保護を受給しうることを周知し助言するよう、市町村に求めます。
    13‐2)生活保護の申請方法を簡素化して保護の申請権を明確化し、窓口での違法な申請辞退誘導をやめさせます。
    13‐3)貯蓄額や自動車保有への制限をはじめとする給付の資産要件を緩和します。
    13‐4)生活保護基準を厚生労働大臣が恣意的に引き下げうるような現行の仕組みを改め、最低生活費の合理的かつ民主的な算出にもとづく保護基準設定の新たな方法を法律に盛り込みます。
    13‐5)「子どもの貧困率」の削減数値目標を「子どもの貧困対策に関する大綱」(2019年)に明記し、教育・福祉の制度連携によって目標を達成します。
    14.医療制度の改革:医療を商品にせず、公共の手にとり戻す
    2020年のコロナ危機により、日本の医療制度の脆さと問題点が多くの人びとの眼に明らかになりました。

    日本政府による新型コロナウイルス対策では、「感染症法」と「新型インフルエンザ等対策特別措置法」によっても必要な検査をできず、それほど急激な患者増でないにもかかわらず必要な感染症病棟・装備さえ確保できませんでした。一方的で一律の学校休校措置や、補償なき緊急事態宣言は、基本的人権と仕事と所得を人びとから奪うものでしかありませんでした。

    医療供給体制の中核をなしてきた公立・公的病院の独立法人化や民営化が進行し、営利的経営となっています。そのなかで、病院などで働く医師・看護師など医療労働者の労働条件は、労働基準法違反が常態化し、劣悪なものとなっています。いまのままでは、コロナ危機のような事態に医療機関は十分に対応することができません。

    製薬や検査・医療機器大企業に不当に巨額の医療費が支払われ、そのため医療内容が歪められ、莫大な医療費が浪費されています。

    そして、平均寿命や余命などの健康指標で世界的に高い水準をもたらした国民皆保険の柱である国民健康保険は、破綻しつつあります。その他の健康保険も含めて保険料金の被保険者負担と受診の際の患者負担が増加し、人びとの生活を圧迫しています。

    コロナ危機を経たいまこそ、医療の商業化・民営化の流れを断ち切り、医療の公的な保障と民主的な運営とを実現する必要があります。
    14‐1)感染症の拡大に対しては、緊急事態宣言ではなく、公衆衛生機関の民主的な拡充こそが求められています。
    ①公衆衛生行政・研究組織を政権と巨大企業から独立させ、公立での民主的拡充を図ります。
    公衆衛生は保健所と(地方)衛生研究所により実施されていますが、後者の独立法人化など相次ぐ合理化でその機能が著しく低下し、かつ管轄地域の実情よりも政権の指示に従わざるをえなくなっています。それが、新型コロナウイルス感染の検査をしない・できない状況をつくり、患者の拡散を生み、人びとの要望に応えられない現状を生んでいます。公衆衛生の民主的な拡充が必要です。
    ②人権侵害を許し効果的な対策を実行できない「感染症法」と「新型インフルエンザ等対策特別措置法」を廃止します。それらに代わり、感染症に対して公衆衛生機関が基本的人権を尊重しつつ命を守る科学的な政策を実行できるようにする新しい法律を制定します。
    14‐2)医療費への公費負担増により勤労者・市民の直接負担をなくします。
    ①公費と大企業の負担増で被保険者負担をなくします。
    当面、破綻しつつある国民健康保険の立て直しと、高齢者保険への公的資金を大幅に増加し、被保険者負担を大幅に減らします。
    ②患者負担をなくします。
    当面、小児医療無料化の拡大と高齢者医療の患者負担の軽減をします。予定されている後期高齢者医療患者負担増に反対します。
    14‐3)医療供給機関の公立化と拡充をします。
    ①国・自治体立医療機関の増加、民間医療機関の公立化を進め、一般病院の増加と、それを上回る(高齢者)長期療養施設を欧米並みに拡充します。
    当面、公的・公立病院の再編・統合でなく、公費投入で拡大・強化します。
    ②医療労働者の労働条件の抜本的改善と、そのための医師をはじめとする医療労働者の大幅増員をします。
    当面、労基法基準を遵守できる体制をつくります。そのために、医師・看護師などが専門職としての仕事に集中できるための人員を大幅に増加します。
    ③新型コロナウイルス対策として、医療崩壊に直面している医療機関に対し、医療専門職の増員を図り、専門職を補助する職種など必要な人員をいますぐ増員します。また、感染予防等のための医療材料や医療機器の確保など、コロナ危機のあとにも継続する公的な資金を医療機関に対して投入するよう要求します。
    14‐4)医療内容の科学性と患者の利益を保障する改革を実行します。
    ①医療内容をゆがめ巨大で不当な利益を上げる製薬・医療機器大企業への統制を強化します。
    当面、「医薬品医療機器等法」を再改正します。
    ②薬剤価格・医療機器には不当に高く、医療労働力には不当に安い料金設定を、科学的かつ民主的なものへと変更します。そのために、新たな料金制度づくりを科学的に実施する機関などを設立します。
    当面、その料金設定を行なっている中央社会保険医療協議会を民主化します。
    15.介護支援制度の改革:全額公費負担の充実した制度をつくる
    15‐1)基本政策
    ①介護保険を廃止して、必要な人に必要な介護支援を全額公費負担で行なう、尊厳ある生活を保障する新たな介護支援制度をつくります。
    ②家族中心の介護でなく、介護の社会化を徹底します。
    15‐2)当面の施策:必要な人に必要な介護支援を保障し、その財源を国の負担とします。
    ①感染症の拡大を防ぎ、サービスを維持できる介護の環境をつくります。
    ・必要な介護支援を安心して行なうために、希望する介護従事者全員に対し国の負担でPCR検査を優先して実施します。
    ・新型コロナウイルス等の感染症の拡大時には、必要な量のマスクや消毒剤等の無償の提供と職員への手当の支給とを国の責任により実施させます。
    ・利用者と職員に対する十分な感染予防策をとったうえで、必要な介護サービスを継続することができるよう、国と自治体に介護事業者への支援を求めます。とくに、感染予防対策のため利用者が減少し事業収入が減少した介護事業者には、国の責任でその全額を補てんするよう要求します。
    ②介護支援体制の充実と人材確保が必要です。
    ・すべての介護職員の給与を公費負担で一律10万円引き上げ、必要な介護職員を確保します。
    ・公的責任で特別養護老人ホームを増設し、待機者を解消します。人材確保の財源は国の責任で賄います。
    ・公的財政保障で地域包括支援センターの人員増を行ない、介護支援体制を充実します。
    ・相談業務も含め、ケアマネージャーの業務充実へ向けて報酬を改善します。
    ・小規模の訪問介護事業所と通所介護事業所への財政的、人的支援を強化します。
    ・介護報酬を引き上げます。
    ③被保険者・利用者の負担軽減を行ないます。
    ・国の負担割合を現在の25%から50%へと増やし、保険料の増額を抑えます。生活保護、住民税非課税世帯の保険料は無料とします。
    ・要介護区分を廃止します。給付の上限は撤廃します。
    ・利用の自己負担の2割3割負担を廃止し、1割負担とします。将来負担ゼロをめざします。
    ・施設入所の室料、光熱費 食費を介護保険の対象とします。
    ④地域総合事業について
    ・総合事業は廃止し、要支援も含めてすべて介護保険の対象とします。
    ・介護予防事業は、地域まかせでなく行政責任を明らかにして取り組みます。
    ⑤障害者総合支援法の適用を優先します。
    ・65歳以上の障害者の介護保険優先を見直し、障害者総合支援法にもとづくサービスを保障します。
    16.年金の改革:高齢者の生活を安定させる年金制度をつくる
    16‐1)公費による最低保障年金(最低生活費に相当する月8万円程度)を創設します。
    16‐2)マクロ経済スライドを止めて、国際基準の所得代替率55%(ILO勧告)以上を維持します。
    16‐3)年金積立金を、投機的運用ではなく年金財政安定化のために活用します。
    16‐4)年金支給開始年齢65歳を堅持します。
    17.地方自治:人権・自治・平和が息づく地域・暮らしを実現する
    憲法の3大原理(国民主権、平和主義、基本的人権の尊重)を自治体において実現する行政をめざします。そのため、「地方自治の本旨」にもとづく地方自治体の自主性を確立し、その取り組みに必要な財源を保障します。
    17‐1)地方自治
    戦争国家の推進と、自治体を「地方政府」でなく「身近な住民サービス」のみ提供する国の下請け機関にする政府の政策に反対します。大都市中心の道州制導入ではなく、住民の自己決定権を拡充し、憲法の保障する「地方自治の本旨」にもとづく自治体の自主性を確立します。
    ①道州制など自治体の「国の下請け機関化」を進め、小規模自治体の自主性と権限を奪う大都市中心の政策を改め、小規模自治体を守ります。
    ②国家戦略特区や大阪都構想など地方自治の解体につながる制度ではなく、住民の自己決定権にもとづく地方自治を拡充します。
    ③公文書は、「健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源」(公文書管理法)です。公文書管理法および公文書管理条例を抜本的に強化します。
    ④憲法違反の国民総背番号制度であるマイナンバー制度を廃止し、災害や感染症などの危機に乗じた個人情報収集とプロファイリングから人権を守る公的機関を創設します。
    17‐2)公共サービス/地域活性化
    政府は「公共サービスの産業化」を打ち出し、公的責任を縮小し、 あらゆる公共サービスの民営化と事務の地域への丸投げを進めています。市民サービスの切り捨て・公共サービスの民営化に反対し、公的責任を拡充します。
    ①公共サービスは民営化でなく、必要とするだれもが利用できるよう質・水準の確保を図ります。
    ②保育や介護、児童擁護、障がい者福祉、男女共同参画、義務教育など、生存権や安全の確保、人間の尊厳や子どもの成長にかかわる公共サービスについては、国際的な人権基準に則って最低基準を拡充します。
    ③公共施設は統廃合や民営化をやめ、住民福祉を増進するという本来の役割を自治体が発揮できるよう直営方式を原則とし、これを拡充します。
    ④上下水道をはじめとした公営企業は、民営化せず公営を堅持します。
    ⑤公立病院の統廃合や縮小をやめさせ、国庫負担による債務帳消しを行なうとともに、救急、感染症、周産期医療、小児科の充実を図ります。
    ⑥地域の感染症対策や公衆衛生の増進のため、保健師を増員し保健所を増設します。
    ⑦大型開発や周辺地域切り捨て、カジノ誘致をやめ、自治体の責任を明確にしつつすべての地域で日常生活圏の整備を行ない、地域の力を生かす産業振興、地域の活性化を図ります。
    ⑧自治体による子育て支援、若者の雇用創出や正社員化への支援を創設・充実させ、地域における若者の子育てから定住への流れをつくります。
    ⑨地方の公共交通網を維持し、その拡充を図ります。
    ⑩公営・公的住宅を必要な住民に保障し、手ごろな家賃の住宅を提供します。災害や感染症などの市民生活の危機に際しては、公営・公的住宅の家賃免除や民間住宅家賃補助など住宅を保障する制度を創設します。
    ⑪公共サービスの担い手である自治体職員を大幅に増員します。とりわけ非正規雇用職員の正規雇用化を行ない、官製ワーキングプアをなくします。
    ⑫公契約条例を制定し、生活賃金と公共事業の質を確保します。
    17‐3)自治体財政
    自治体の自主性と財源を保障するため、国家による管理・統制や市場競争原理の徹底や自治体間競争による財源の奪い合いでなく、国と地方の税配分割合を地方に高めることで、地方財政の健全化を図ります。
    ①地方交付税は、トップランナー方式などの変質と削減をやめさせ、行政サービスに必要な財源を保障し調整する本来の制度に戻します。
    ②地方自治体の実情に見合うよう一般財源総額を拡充し、地方交付税の財源の不足分は、臨時財政対策債の発行ではなく交付税率の引き上げで対応します。
    ③各種補助金、各種支援措置は「成果主義」でなく、必要な財源を保障し拡充します。
    ④災害や感染症などの市民生活の危機に際し、居住する地域によって施策の格差が生じないよう、全額国庫負担の特別交付金を創設します。
    17‐4)防災
    近年の自治体の災害対応力の弱体化は、人員削減や職員の非正規化、指定管理者制度や民営化、公共施設の縮小などが原因です。防災や救命救助、被災者支援などに対応できるよう、自治体の態勢を整備充実します。また、被災自治体への人的支援の体制を政府の責任で確立するとともに、必要な財政支援を講じます。
    ①自治体庁舎や公共施設、とりわけ避難所の耐震性の強化、非常用設備の充実を進めます。
    ②国際赤十字の「スフィア基準」にもとづく、被災者の生命と人権を確保する避難所を整備します。
    ③災害の危険を無視した開発行為の規制など、経済効率優先でなく防災を重視したまちづくりを推進します。
    ④消防職員・災害対応職員を増員し、必要な体制を確保します。
    17‐5)自治体議会
    多くの自治体議会は、自民・公明・維新勢力が多数を占め、議会運営での大会派有利の慣行が市民の請願権をないがしろにし、市民の声の市政への反映を遮断する市民不在の議会になっています。憲法を基準にした市政チェックと提言をし、市民の声を反映させる議会へと変革します。
    ①多様な市民の声を議会に反映させるため、議員定数削減や少数派議員の権利抑制に反対し、議会制民主主義を確立します。
    ②議会を市民のための市政監視と議論の場としてとり戻す「議会基本条例」を制定します。
    ③議会で市民が市民生活に関係のある事項について自由に発言し、それを議案採決等の参考にさせるなど、議会への市民参加制度を創設します。
    ④議員の第二報酬(給与)である政務活動費は廃止します。
    ⑤政令指定都市などでの高すぎる議員報酬は削減します。
    ⑥定住外国人の地方参政権を実現します。
    18.グローバル資本主義への規制:金融投機を廃絶し、不平等を克服する
    21世紀のグローバル資本主義の顕著な特徴は、
    1)グローバルな金融市場が肥大化し、金融投機が1国または1地域の経済をマヒさせ、それが――2008年のリーマン・ショックに見られるように――またたくまに世界中に波及すること、
    2)1国内でも世界規模でも貧富の格差がますます拡大することにあります。
    金融の暴走と格差の拡大を止めるために、国際的な連帯と協力によって以下のことをめざします。
    18‐1)金融投機を規制・廃絶し、金融を実体経済に従属させます。
    ①銀行業務と証券取引業務との厳格な分離を実施し、リスクの高い証券取引業務に銀行を従事させないようにします。
    ②ヘッジ・ファンドをはじめとする投機的な投資機関を禁止します。
    ③リスクの高い金融派生商品の売買を禁止します。
    ④利子と配当に対する税を引き上げます。
    ⑤世界中の租税回避地(タックス・ヘイブン)を廃止します。
    ⑥国際協調によって為替相場を安定させます。
    ⑦証券の短期的売買や外国為替取引に対する国際的な低率の税(証券・為替取引税)を導入します。
    18‐2)世界的な不平等の是正をめざします。
    ①多国籍企業による対外直接投資を規制するための社会的な基準と環境保護の基準を国際的に定めます。
    ②発展途上国が海外の政府・金融機関・国際機関に負っている債務は、途上国の医療と社会保障と教育の水準を高めることへの足かせになっています。この債務を帳消しにします。
    ③世界中の国々に債務の返済と緊縮財政を押しつけているIMF(国際通貨基金)や世界銀行のような機関に代えて、貧困の撲滅と民主主義的で環境保護指向の開発に貢献する新しい国際的な金融支援機関の創設をめざします。
    ④国際的な賃金格差を是正し、健全な労働環境を保障するための国際的な基準を打ち立てます。

    声明に関する問合せ先:MDS(民主主義的社会主義運動)

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